グルメの王様のおしゃれ美食道 第23回「台湾パパの味」
中国料理を語る上で忘れてはならいのが、台湾料理でしょう。今回正真正銘の最も台湾らしい!と言われるカジュアルなお店に出かけてきました。

その名もPa Pa Chang’s. とてもユニークな名前ですね。お店は16th北 / MaCowan西のプラザにあります。店内はとても小さく、午前11時の一番乗りで出かけたのが正解で、正午近くには次々とお客が訪れ瞬く間に満席。諦めて帰る人もいました。

当地の密かな楽しみの一つに、中国の人と食事をする際、小さな声で「隣の席の人は台湾の人。」と言い当てる場面があります。残念ながら私には言葉を聞いただけでは分かりませんが、多分微妙なニュアンスの違いがあるのでしょうね。お店ではその台湾語が飛び交うと思いきや、接客係りの人は広東語でした。ということは香港系のお客様が多いのでしょう。言うまでもなく中国料理ではあるのですが、普段我々が親しんでいる料理とはやはり少し趣を異にしています。ちょっと感心したのは、厨房の準備に少し手間取ったお詫びにと、同店自慢のパイナップルケーキをサービスしてくれたことです。パイナップルケーキは台湾の名物で、当然当地の台湾系モールでもよく見かけます。こちらのお店では予約のお客様だけに特別に作っているそうで、これは知る人ぞ知る世界ですね。

名物料理を中心に注文しました。まずバンバンユイ。バンバンジーという鶏の串揚げもありますが、敢えて珍しい魚版を食べてみました。人気料理だけあって中々の味でした。それにしてもバンバンジーといえば四川料理のそれが知られていますが、台湾レストランでは別料理となっていて興味深いですね。また一見普通のおつまみにみえる「ポプコーンチキン」は独自の味付けで、かなり自信を持って調理されている様子が伺える力作でした。またこれも他の中国料理店では見たことがない、「オイスター入りパンケーキ」。ご存知のように、西洋のパンケーキと中国系料理のパンケーキでは、同名異義で全く違います。ここでもコスモポリタンシティーならではのお国柄の面白さを感じることが出来ます。麺類は、ビーフシチュウソバとでも言いたくなるようなとても柔らかな牛肉入り麺と、これも同店の名物で他ではあまりお目にかからない豚肉を細かく切って乗せた麺を試してみました。普通なら麺はそのままで、具だけが変わるのですが、このお店ではそれぞれ違う麺で作るという工夫が施されています。また、いわゆる「臭い豆腐」も断然同店の自信作として有名なのですが、余りの匂いの強さに近隣の家々特に老人ホームから苦情が来てメニューから削除。時折出店する野外のイベントの時のみ作ることになったそうで、これは正しく文化の違いが生んだ悲劇と言えます。皆さんの中国料理ライフに、たまには台湾料理も加えてみては如何でしょうか?
辻下忠雄
エッセイスト・生活礼儀情趣導師(生活開発プロデューサー)
1947年東京大田区に生まれる。成城学園出身。フランス料理界、ナイトクラブ界、中国料理界の大御所として多くの逸材を育てた父と、料亭経営の傍ら歌舞伎の舞台にも立った祖父の下で育つ。美食歴59年究極の美食家。紳士の中の紳士。ベストドレッサー。生活信条は「明るく・楽しく・仲良く」超楽天主義者。トロント在住。










