【第23回】安全で健康的な食生活を目指して | トロントの居酒屋風雲児
今年も本当に早いもので残すところあと2ヶ月となりました。トロントは夏が短いなと思っていましたが、ここ最近は1年もあっという間に過ぎてしまう事にビックリです。息子も先月末に3歳になって今月からは保育園に通い始め、すっかり赤ちゃんの面影がなくなり、子供の成長の早さにも驚きです。学生時代の頃に先輩や年上の方から歳をとると時間が過ぎるのが早いよと言われていましたが、40歳を手前にしてその言葉の意味を実感しています。
子供を持ってからというもの、自分自身、また生活のリズムなどがかなり変わったなと思います。自分の服や靴などへの出費はかなり減りましたし、友人やスタッフと飲みに行くことも滅多に無くなったので、前に比べるとかなり規則正しい生活になったかと思います。
食生活に関しても休日でも夜の外食はほとんど行かなくなり、家族で食卓を囲むことが普通になりました。息子と一緒に食べるものは辛味が無く、薄味で作ることが当たり前になり、使う食材もなるべくオーガニックの物やオンタリオ産の物を使うようになりました。
正直、独身の時は安い方がいい、量が多い方がいいと思い、安い中国産の野菜などを購入していましたが、日本のニュースであれだけ危険な薬物が使われているなどと聞くとやはり怖くて息子には食べさせたく無いのが本音です。もちろん全ての中国産の野菜が危険なわけでは無いと思いますが、輸送にあれだけの時間がかかっているにもかかわらず、野菜が綺麗な状態で維持されているのはやはり疑問を感じます。
しかしカナダ国内やオンタリオ州で取れる野菜にも限りがありますし、特に冬の間は種類がかなり限られるのでファーマーズマーケットもあまり行われないこの季節は食材選びが少し難しくなってきます。
こういった変化は自分の店で使う食材にも少しずつ影響してきています。もちろん利益を出すために食材費を抑えることは飲食店において必要なことですが、息子同様にお客様にも少しでも安全な食材を使用したり、油の使用量を抑えたりするようになりました。
例えば以前はバターに比べて安価なマーガリンを使用していましたが、現在はバターしか使用していません。また牛肉もタタキなどで使用する物に関しては国内産のホルモン剤や抗生物質を使用していない物を選ぶようになりました。
私たちは居酒屋としての営業形態になるので、なるべくお手頃な価格で提供したいので、全ての商品をオーガニック食材や国内食材に変えることは容易な事では無いですが、少しづつでもお客様のためにと考えています。
飲食店で働いていると砂糖や油、醤油や塩などの調味料を家庭とは比べ物にならない量を使用するので感覚が麻痺してきますが、その商品を息子にも食べさせられるのかと考えながら仕込みを行うようになりました。食べるという行為は自分自身も息子もお客様も毎日行います。その毎日の食事が少しでも安全で健康的にしていければと思っています。
小笠原 克 Ogasawara Masaru
日本ではファッションブランドGapでアルバイトからマネージャーまで7年間勤務、新規店の立ち上げや日本売り上げNo.1店舗での管理職を経験し、2005年にワーキングホリデーでバンクーバーに渡加。ファッション業界からの転身となるが、調理師免許保持や両親の飲食関係の仕事の影響などもあり、大人気居酒屋Guuでワークビザを取得し男前店で副店長を務める。その後2009年トロントでのFC立ち上げ総責任者に任命されトロントへ。寒い冬でも毎日行列のできる大繁盛店となり、トロントの日本食パイオニアとなる。2014年にはKinkaFamily Inc.の副社長に就任し、居酒屋の他、ラーメン、寿司、焼き鳥などのブランドを管理、2015年10月末GuuとのFC契約終了とともに独立・起業。現在は世界で皆に愛される飲食店を開業できるようにと奮闘中。