グルメの王様のおしゃれ美食道 第44回
「美食家の三ツ星レストラン(1)」







ご存知の様に、食都パリにはミシュランの星を冠したレストランが数多くあります。一流の料理人を目指す人々は、この星獲得の為に並々ならぬ修業を積みます。今回は星の最高位三ツ星のレストランを訪れました。正に本当の本物、究極のレストランです。
この最高級レストランはその名も「エピキュア」美食家です。シャンゼリゼ大通りからさほど遠くない所にある大変有名なホテル「ブリストル」の中にあります。綺麗な中庭が自慢のお店なので、豪華なランチョンを選びました。店内は清潔で隅から隅まで掃除が行き届き、大切な基本を感じさせました。
ここには日本人女性スタッフがいるのですが、実際会ってみるとやはりホッとさせられますね。前菜の前のいわゆるお通しも見た目に美しく、スタートに相応しい繊細な味付けでした。オードブルの前に供されるいわゆるアミューズは、近年ではコース料理の主流になりましたが、只出せばよいと言う訳でなくこれからの食事のスタートとなるので、その後の食事がより一層楽しめる味でなくてはなりません。食欲をそそる工夫が必要です。いつものことながら食材を尋ねず、大切なスタートとして敬意を表しながら頂くことにしました。
コース料理は全て2種類ずつ注文しましたが、まず登場したのが、1本釣りの鯖、それに燻製とポテトのコンフィ。黄身のパウダーとカレーオイル。この演出は流石ですね。そして焚火でローストした白茄子を使った料理。パルメザンチーズのスクランブル。ペパーミントジュース。あの茄子がこのように姿を変えて現れるとは…。途中でお口直しが入ります。これもコース料理では大事な演出ですね。さてメインは鱈。グリーンアニスとカレーをまぶし、グリーンゼブラトマトのジュース、オリーブ、レモン、タイムとローストした珍しい料理。そして炒ったスパイスとローストされたジャラン産の鴨が登場。チェリーが添えられ、ぺルベンヌ風味の玉ねぎのピューレ、そして鴨のジュース。数多くの鴨料理を見てきましたがこれは見事でした。
一流の料理には当然一流のシェフの存在がありますが、ここ「エピキュア」の総料理長こそ、フランスにはM.O.F. (国家最優秀料理人)と呼ばれる称号があるのですが、日本でいうと人間国宝のエリック・フレション氏。大昔から調理場は聖域と信じ馴れ馴れしく入らない主義ですが、今回は快く招かれ、この巨匠とも言える最高のシェフと話をしました。日仏親善宜しく固い握手を交わしましたが、その間大変温かみのある手から、あのまるでお皿に絵画を描いたような超一流の料理が生まれるのか、そう思うと何となく手を離しずらくなりました。
辻下忠雄 エッセイスト・生活礼儀情趣導師(生活開発プロデューサー) 1947年東京大田区に生まれる。成城学園出身。フランス料理界、ナイトクラブ界、中国料理界の大御所として多くの逸材を育てた父と、料亭経営の傍ら歌舞伎の舞台にも立った祖父の下で育つ。美食歴59年究極の美食家。紳士の中の紳士。ベストドレッサー。生活信条は「明るく・楽しく・仲良く」超楽天主義者。トロント在住。




