H.I.S.オススメ オトナの旅 〜ブルース・ペニンシュラ〜
ジョージアンベイとレイクヒューロンを分けるように突き出た半島、ブルース・ペニンシュラ。ここにはカナダ国立公園があるだけでなく、さまざまな秘境スポットが点在している。トロントからは車で約4時間、トロントの大都会からは想像しがたい壮大な大自然の風景が広がる。
まず向かうのはブルースペニンシュラの最北端に位置するトバモリーというエリア。キャンプ地として有名で、夏には多くの観光客がビーチやキャンプ、ハイキングを楽しもうと訪れる。ここにあるファトム・ファイブ・ナショナル・マリーン・パークにはパーク全体を見渡せる展望タワーやリトル・ダンクスベイに面したルックアウト、ハイキングトレイルがある。
今年はカナダ150周年記念で国立公園の入場が無料ということもあり、パークに到着するとすでにたくさんの人で賑わっていた。初めに向かったのは展望タワー。かなりの高さがあり、広大な森林が見渡せる。展望タワーから10分程度歩くと、リトル・ダンクスベイが見渡せるルックアウトに辿り着く。透き通った水と崖のように削れた岩が印象的だ。
その後ハイキングで次の秘境スポットへ向かう。整備された歩道は終わり、森林の中をかき分け、川を渡り、山道を歩き続けること40分、ダンクスポイントへ到着。先ほどのルックアウトとは異なり観光客は数人しかおらず、風と水しぶきの音だけが聞こえる。滑らぬよう慎重に岩の上を歩いて奥へ進むとダンクスベイとはまた少し違った穏やかに水が流れる入り江が広がる。
40分もの間森の中を歩き続けた苦労もあり、目の間に広がる景色は一段と美しい。透明な水が青空を鏡のように映し出す。歩き疲れたことさえも忘れさせる風景だ。約4㎞のハイキングの先にあるということもあり、まさに秘境地と言えるスポット。手を水につけてみるとひんやりとして気持ちがいい。透明度が高いため水の中の自分の手を鮮明に見ることができる。森と湖に囲まれた空間で身も心もきれいになった気がする。
ファトム・ファイブ・ナショナル・マリーン・パークを出発し、次に向かうはトバモリーのハーバータウン。夕暮れ時に映える港町にはかわいい小さなショップやレストランが立ち並ぶ。水面を覗くと底が見えるほどのガラスのような水に囲まれたこのエリアには、19世紀に沈んだ難破船がそのまま水中に残っている。ボートツアーに参加することもでき、水面から湖底の難破船を見ることができるのだ。
翌日早朝、空を真っ赤に染める日の出を眺めながら向かったのは、カナダ国立公園のひとつである、ブルースペニンシュラ国立公園。トバモリーからは車で約20分の距離にある。朝7時を少しまわったぐらいに到着したが、すでに多くの人がThe Grottoを見ようと公園内へ向かっていた。駐車場から約15分程森の中を歩くと大きな崖があり、その先には、きれいなターコイズブルーの湖と独特の形の岩からできた入り江が姿を現す。
The Grottoとは何千年もかけて岩が水によって削り取られて形成された洞窟である。洞窟の中の水位の変化や太陽の光により様々な表情を見せるThe Grotto。ブルース・ぺニンシュラへ訪れる多くの人がこのThe Grottoを一目見ようとやってくる。息を呑むほどきれいな水と自然に創造された岩は人々を魅了する。ブルース・ぺニンシュラの北西にはビーチがいくつもあり、それもまた人気スポットのひとつである。
数え切れないほどの楽しみ方があるブルース・ぺニンシュラ。帰りたくない気持ちを抑えながら大都会トロントへの帰路に着く。心も体も癒される旅となった。