第97回「価値観① / マルチカルチャーな国に来て・夫婦の価値観」|カナダ・トロントにある幼稚園の園長先生コラム。気付けば息子も大きくなりました…

 読者の皆さま、明けましておめでとうございます!!

 何気ない日常の出来事を通して、頭に浮かんだ事をつらつらと書き綴ったこのコラムを執筆させていただくようになってから早8年もの年月が経ち、こうしてまた新たな年を迎えることが出来ました。感謝感激、読んで下さって有難うございます!

 例年ですと、新年の抱負…なんて立てたことすらないのですが、せっかく2020年と西暦年号のキリも良く、令和になって初めてのお正月ですので、身も心も引き締めて(?)、今年努力してみようと思うのが『個々の価値観を大切にする』です。

 なんでまた??的なんですが…(笑)。実は昨年末、友人たちと話している時に〝価値観の違いについて〟の話題が出たのです。夫婦の間、職場の上司と部下の間、友人の中での価値観。同じ日本人やカナダ人同士でもそれぞれ価値観は違うのに、生まれ育った環境や文化が違う日本人とカナダ人との交流や国際結婚、そしてそこに生まれてきた子供など、それぞれが抱く価値観って、途方もなく違うもんだよね〜、という話から。

 価値観と簡単に言ってはいますが、そもそも、価値観というのは一体何なのか。

 ウィキペディアには、『〈価値観〉とは、何に価値があると認めるかに関する考え方。 価値(善・悪、好ましいこと・好ましくないこと、といった価値)を判断するときの根底となるものの見方。ものごとを評価・判断するときに基準とする、何にどういう価値がある(何には価値がない)、という判断』と記してあります。

 友人たちと話していて、ここマルチカルチャーなカナダに住んでいると、価値観の違いを受け入れるということはとても大切なのではないかと、改めて考えさせられるものだったのです。

 価値観は、家庭環境や社会環境に大きく左右されると言われていますが、過去の実体験から生まれていることが多く、それが『自分の価値観』に繋がります。似たような環境で過ごし、また同じような体験をして来た人たちは共通点も多く、お互いの価値観も似ていて、理解し合える部分も多いでしょう。

 でも、広範囲の中のごく一般的な日本人をおおざっぱに一括りで見てみると、小さな島国で生まれ育った日本人、海外へ出てみればそれはもう文字のごとく、別世界を見ることになりますよね。海外に出て初めての頃は、何もかもが楽しくて、珍しくて、興味深くて…色々な価値観を持った人と出会うことすらも、素晴らしい経験となります。ですから、旅行や短期滞在はある意味、自らを違った価値観のもとへと導いてくれる良い材料となる訳です。ところが、長期で住み、そこで暮らしていくとなると見方、考え方、受け止め方…全てが変わって来ます。様々な背景を持った価値観の違う人たちとの付き合い方を念頭に接して行かなければならないからです。

 言葉も、祖国も、文化も、習慣も、宗教も、政治も…それぞれ違うバックグラウンドの人たちが集まれば、その人の数だけ、価値観の違う人と接する機会があるという事ですから、「人はそれぞれ違う価値観を持っている」と頭では分かっていても、その違いが鮮明になるほど戸惑うのも事実です。そんな中で出会ったパートナーが日本人以外という人もたくさんいるでしょう。

 国際結婚が増えている昨今、価値観の違う相手とどう向き合うのか…そして、その間に生まれて来た子供たちはもっと違う価値観を持つことになりますから、そんな彼らとどう向き合うのか…も、大切なポイントとなります。

 私が主人、マークと出会った頃は、私の英語力のせいで全く会話になりませんでしたが、同じ日本人同士(マークは日系三世)、共通点がたくさんあるという事で、何ら問題はないと思っていました。でも、よく考えれば日本で生まれ育った日本人同士でも価値観の違いで問題を抱える人が多いのですから、日系人となると価値観の相違があって当然なのです。

 ましてや、それ以外の国の人との国際結婚となると、英語が堪能な人であっても、より一層複雑な関係になるのは当然と言えるでしょう。食事や宗教、文化や習慣だって、結婚前は何でも受け入れられると思っていたことが『価値観の違い』で喧嘩になることだってあるのです。

 価値観の違いとは、多くの場合それぞれが「何を大切にしているのか」そして、それによる物事のとらえ方や優先度の違いが挙げられ、その大切なことに使う金銭感覚の違いも喧嘩の元となる大きな理由にもなるのかと思います。価値観による金銭感覚に納得がいかないと怒りに変わってしまったり、相手の人格をも否定してしまったり…。

 でも、例え相手が自分と真逆の価値観だったとしても、自分の意にそぐわない相手を否定する理由にはならないのです。価値観のいくつかはアイデンティティとの結びつきもありますので、安易に否定するのは良くないでしょう。価値観が違うことで衝突した場合、

* 相手の価値観を否定しない。
* 自分の価値観を押し付けない。

 これ、すっごく基本的なことなんですよね。次回はこれについて、具体的な話をもっと掘り下げて話していきたいと思います。

池端友佳理

京都出身。大阪の大学看護科を経て同大学病院の産婦人科で看護師として経験後、1990年に渡加。伴侶は日系カナダ人三世。一人息子の母。1993年に自宅で池端ナーサリー託児所を開設。1999年日系文化会館内に池端ナーサリースクールを設立、園長を勤める。