4月のテーマ「光と闇」|トロントの本屋さん
こんにちは!今月もバンクーバーの岩崎ゆかりとそのチームからお送りします。
この4月号が皆様の手元に届くころには新型コロナウィルスが収束に向かっていることを切に祈りますね。さて、今月のテーマは「カナダの光と闇」です。
まずはカナダを知りましょう!安直な私、テーマから『地球の歩き方』を紹介しようと考えておりました。そんな中、チームからスッと提示されたのがこちらのムックです。『CREA Due Traveller(【総集編】幸福のカナダ)』(文藝春秋)。美しい写真に小粋なコメントと迫力の自然からグルメまで、広大なカナダの魅力をお伝えしています。ダウンタウンの観光名所やmust goカフェは一通り押さえてあり、新たな探訪先を探しているあなたにぴったりで贅沢な幸せを届けてくれます!
歴史を楽しく知るには、平間俊行著『カナダの謎 なぜ「赤毛のアン」はロブスターを食べないのか?』(日経ナショナルジオグラフィック社)がおススメです。先住民、植民地時代から脈々とある歴史を紐解きながら10の謎に迫ります。
アンさんという名前の方に会うたびに今でも名前のスペルが気になってしまうのは「赤毛のアン」の影響です。「私の名前はAnnじゃなくてeのつくAnneよ」という一説が印象的です。1908年に発表された小説から当時の文化・歴史を感じられるって素敵ですよね。
司馬遼太郎と言えば映画やドラマの原作として使われるのみならず、よくメディアにも引用される歴史小説家の印象が強いですが、『アメリカ素描』(新潮社)のような見聞録もあります。
「初めてこの地を旅した著者が、普遍的で合理的な『文明』と、むしろ不合理な、特定の集団でのみ通用する『文化』を見分ける独自の透徹した視点から、巨大な人口国家の全体像に迫る」
対日、対日系人の歴史はアメリカと共にカナダでも鮮明な記憶になっています。司馬遼太郎が語るアメリカ論は昭和の末期、昭和61年に刊行されたものですが、令和の今、読んでも色褪せていません。
日本で生まれ、日本で育ち、縁あってカナダに移民した私ですが、私の周りには日系2世を育てている方がたくさんいます。2世にしか分からないこと、言語の世界、気持ちを日本人に体験させてくれるのが西加奈子著「i(アイ)」(ポプラ社)。西さん自身がテヘラン生まれ、カイロと大阪で育ったからこそ描けた物語です。
「ワイルド曽田アイ、1988年生まれ。赤ん坊の頃にシリアからニューヨークにわたりダニエルと綾子夫妻の養子となった。小学6年生の時に父の転勤により来日。現在高校生の彼女はずっと、自分の恵まれた環境に罪悪感を覚えている。〈選ばれた自分がいるということは、えらばれなかった誰かがいるということだ〉と。」
駐在でカナダにお越しの方たちの帰任新任が多くなる4月、新天地での子女・子弟の教育についてはさぞかしご苦労も多いことでしょう。「この世界にアイは、存在する。」
それではまた次号でお会いいたしましょう!
トロントにある日本の本屋さん
Blue Tree Books
Blue Tree Books(J-town内)では、日本の本や雑誌を販売しております。話題の本はもちろんのこと、英語・その他言語のテキスト等も取り扱っています。店頭にない商品も、もちろん日本から取り寄せいたします。是非気軽にお越しください。
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