2千万円店長の背景、マネージャー像のアップデート|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中 第87回
この冬、讃岐うどん専門店の丸亀製麺さんが、トロントでオープンするそうです。日本に行くたびに、必ずと言ってよいほど訪れる大好きなお店なので、だからこそ、雷神とロケーションが近いのはビジネス的にちょっと怖いところがあります。しかし、お客さんとしては楽しみですし、一緒に日本の麺文化を海外で広げる同志としても、非常にワクワクしております。
さて、その丸亀製麺などを運営するトリドールホールディングスが、店長の年収を最大2千万円とする人事制度を導入すると発表しました。
最近、ちょうど雷神でもマネージャー業務の棚卸しや、業務の振り分けを見直していたこともあり、いろいろと考えることがあったので、今日はそんなマネージャーの仕事について、深掘りしてみたいと思います。
トリドールホールディングスが掲げた「2千万円店長」の職務内容ですが、これまで店長が行っていた受発注やシフト作成などの業務は副店長以下に任せ、店長は従業員の幸福度や顧客の感動体験を数値化し、向上させていくことに注力する、というもののようです。
雷神でも、マネージャーの仕事を見直す際にまず取り組んだのは、業務の切り分けです

マネージメント業務には、大きく分けて二つのタイプがあると考えています。
一つは、商品開発やイベントの企画・進行など、店舗の価値を高めるクリエイティブな「攻め」の業務。
もう一つは、デスクワーク・メンテナンスなど、お店を安定して運営するための管理を中心とした「守り」の業務があります。
この「クリエイティブ↔管理」の対立軸を縦軸に、そしてさらに「ルーティン↔非ルーティン」という軸を横軸に設定すると、業務を4象限で分類できるようになります。
この分類に当てはめてみると、ルーティンかつ管理系の業務、すなわち受発注やシフト作成などは、今後AIの力を借りて誰にでもできるもの、あるいは自動化されていくでしょう。一方で、非ルーティンかつクリエイティブな業務、たとえば店舗の戦略立案や、チーム作りなどは、ますますその重要性が高まっていくはずです。
このように業務を整理したうえで、それぞれの業務に求められるスキルや負荷を考慮し、評価にも傾斜配分を加えていくと、経営者的なマインドを持ったスーパー店長に対して最大2千万円という報酬を与えることは、非常に理にかなっていると感じます。
これは、そういった人材を本気で育てるという、企業の明確な意思表示でもあるはずです
これまで、現場で力を発揮した人が評価され、マネージャーに抜擢されたものの、業務の性質が変わったことでその人が伸び悩む、そんな悲劇が、飲食のみならず多くの業種でも見られたのではないでしょうか。
店長は何でもやらなければいけない、という解像度の粗い職責を一個人に求め、現場の延長にマネージメント業務があるという誤った認識を持ってしまったことを、まずは経営側が受け止める必要があります。
その上で、先ほどの4象限の考え方を活かし、業務を適切に切り分け、それぞれを得意な人に任せていくことで、こういった悲劇を防ぎながら、健全な組織作りを目指すことが出来るのかもしれません。
その結果として、離職率の低下や新しい価値創造が生まれてくるのであれば、こうしたアプローチがこれからの時代に合ったマネージメントの型として広がっていくのでは、トリドールさんの2千万円店長の記事を読んで、そういった飲食店の未来の可能性を感じました。






