商工マーケット動向そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第83回】
今回は、トロントの商工賃貸のマーケット動向についてお話したいと思います。商工物件の種類は、Office(オフィス)、Retail(店舗)、Industrial(工場、倉庫等)の大きく3種類に分かれますが、本編では主にオフィスと店舗について取り上げます
オフィスと店舗の平均賃料

トロント不動産協会(Toronto Real Estate Board=TREB)による最新発表によれば、2024年第3四半期の商工賃貸マーケット全体における賃貸案件数は前年同期比約34.4%UP、うちオフィスは前年同期比約6%UP、店舗は前年同期比約24.6%UPでした。平均賃料に関してオフィスは1sqftあたり19・40ドル(前年同期比約25.4%UP)、店舗は1sqftあたり47・21ドル(前年同期比約68・5%UP)となっています(図1)。

一方、商工マーケット全体における売買案件数は前年同期比約33%DOWN、うちオフィスは前年同期比約23%DOWN、店舗は前年同期比約28%DOWNでした。平均売買価格に関してオフィスは1sqftあたり374ドル(前年同期比約12%DOWN)、店舗は1sqftあたり213.57ドル(前年同期比約56%DOWN)となっています(図2)。
前回、商工マーケットについて投稿させていただいた2023年第1四半期の発表によれば商工マーケットにおける賃貸は前年同期比がダウンし、売買は前年同期比がアップしていました。それに比べて、2024年第3四半期の発表では賃貸は前年同期比がアップし、売買は前年同期比がダウンしていることは、この1年半の間で商工マーケットに変化が生じていることを示しています。

コロナ前の2019年~2024年の第3四半期における平均賃料の推移を見てみますと、2020年では店舗がコロナの影響を受け大幅に下がったものの、今年は賃料が大きく増加しています。オフィスもコロナ期間を経て小さなアップダウンを繰り返していますが、大きく下がることはなく安定しています(図3)。

CBREの発表によりますと、2024年第4四半期における、カナダ全体のオフィスの空室率は18.7%、トロントのオフィスの空室率はダウンタウンで19%、郊外で20.7%となっています(図4)。

次は2015年~2024年におけるオフィスビルの種別による空室率の推移です。2024年第4四半期においては、最もランクの高いトロフィーランクのオフィスの空室率は10.5%、次のAランクのオフィスの空室率は17.1%、続いてB・Cランクのオフィスの空室率が25.2%となっています。コロナ期である2020年前半にほぼ同等の空室率であったトロフィーランクとAランクのオフィスビルですが、この4年間でAランクの空室率が少しずつ上がる結果となっています(図5)。
商工物件の基本
- 賃料に税金がかかる…住宅賃料にはHSTはかかりませんが、オフィスや店舗の賃料にはHSTがかかります。
- TMIはテナント負担…T(Property Tax)、M(Maintenance Fee)、I(Insurance)の3つをすべてテナントが毎年の実費額を負担する必要があります。
- 光熱費はテナント負担…電気、ガス、水道、インターネット代などテナント自身が支払います。
契約について
- 基本的に5年間契約…5年+5年の合計10年が最も多いケースですが、事業計画によってはオーナーと交渉し5年+5年の更新×2回と合計15年分を最初から確保するケースもあります。賃貸商工物件において、住宅のようにレントコントロールはありません。特に店舗においては毎年〇%ずつ賃料アップと契約書に記載されるケースが多いです。
- TMIは実費払い…特に固定資産税や管理費は年々上昇する可能性が大きいため、テナントはこれを全額実費するよう定めるケースが多いです。
- 弁護士のリーガルチェックが必須…弁護士によるリーガルチェック、デューデリジェンスが必要となります。また店舗物件において営業権を買い取ってビジネスを行う場合、営業権譲渡に関する売買契約、ならびに店舗物件自体に関する賃貸契約の2種類の契約が存在します。
- 途中解約時のサブリース…固定期間を定めた賃貸契約において途中で解約または退去したい場合、残存期間ついて名義変更またはサブリース相手を探すことができます。
- フリーレントまたは内装費負担…賃料交渉の1つとしてフリーレント期間または内装費をオーナー負担とするなどについて確認し、契約書に明記する必要があります。
- デポジット…商工において明確な規定は無いですが、通常3~6か月程度のケースが多いです。
- 契約違反による立ち退き…例えば賃料不払いなど契約違反があった場合には、弁護費の介入のもとオーナーは鍵を取り換え、店舗やオフィス内に残っていた物品を差し押さえこれを売却する権利を有します。
オンタリオの法律ではテナントをかなり守っている規定が多いですが、商工ではそうした傾向はありません。そのため契約する際には専門家のアドバイスを受け、十分に確認してから契約することをおすすめします。
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