新茶と風炉|お茶コラム
5月は何といっても新茶の季節です。新茶はその年に初めて収穫される茶葉で、地域によって収穫時期が違いますが、「桜前線」ならぬ「新茶前線」は4月上旬頃に九州地方からはじまり、5月中旬頃まで続きます。「夏も近づく八十八夜…」ではじまる茶摘みの歌を耳にしたこともあるかと思いますが、八十八夜とは、立春から数えて八十八日目にあたる日のことです。立春は日付が固定されていないので、八十八夜も毎年同じ日付ではありませんが、基本的に5月のはじめになります。2025年の八十八夜は、5月1日(木)です。八十八夜に収穫された新茶は不老長寿が叶う縁起のいいお茶として特別に扱われてきました。

実際のところ、新茶は、その年の最初に収穫されるので、やわらかな新芽を使っており、青葉の香りが特徴的で、若々しく爽やかな印象のお茶です。新茶の香りをより楽しむために、ポイントとしては、蒸らし時間を短くし、80度くらいのお湯でさっと抽出するといいでしょう。一般的な煎茶が1分蒸らすのに対し、新茶は40秒くらいで試してみて下さい。
桃ティーでも少量ではありますが、毎年新茶を入荷していますので、興味のある方は5月中旬以降にWebサイトをチェックしてみて下さい。

柏餅と大福
話は変わって、茶道の世界では、5月からお茶を沸かす炉が、夏用の「風炉」にかわる時期でもあります。毎年、立夏(5月上旬)から、立冬(11月上旬)の季節まで使われます。 11月の最初のお稽古が「炉開き」と呼ばれるのに対し、5月の最初のお稽古は、「初風炉(しょぶろ)」といいます。時期的にも5月5日の端午の節句、この時期にお茶席でいただくのを楽しみにしているのが、柏餅です。茶道をしていなくても、この時期皆さんがいただく和菓子ではないでしょうか。柏の葉は、新しい葉っぱが出るまで、古い葉が残ることから、家系が絶えず、子孫繁栄の象徴の縁起物として食べられてきたそうです。
端午の節句は、古代中国の伝説に起源を持つ厄除けと成長祈願の行事でしたが、それが徐々に病気や災厄を避ける行事となり、日本へも伝わったといいます。別名、菖蒲の節句ともいわれていますが、菖蒲は薬草として用いられていたようです。軒先に菖蒲の束を吊るしたり、菖蒲の葉を浮かべたお風呂にはいっていたのは、無病息災を祈って行われていたのですね。日本にこの行事が伝わってきたあと、「菖蒲」と、武士の精神「尚武」また、「勝負」と同じ音であることから、武士の年中行事となり、武士社会の風習から鎧や兜が飾られたのです。今では「こどもの日」とされ、すべての子供の健やかな成長と幸せを願う日となったのです。

吉田桃代
Tea&Herbal Association Canada公認ティーソムリエ日本茶アドバイザー
日本茶のオンラインストア「Momo Tea」とお茶団体「Nihoncha Canada」を運営。Momo Teaは2015年からトロントのお茶の祭典、Tea Festivalや、日系文化会館の季節のイベントを中心に出店。2023から日本茶の良さをカナダの人に広めたいという想いを込めて、日本茶と日本の文化に特化した「日本茶祭り」を主催。毎年11月第一日曜開催予定。






