【第十一回】帰化申請の現状|ACROSEED|知って安心!海外と日本をつなぐ法務サポート

帰化申請の最新のトピックスと言えば、2026年1月23日に高市総理のもとに発表された「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」です。これによると現行では5年以上の日本滞在歴が必要とされていましたが、今後は10年以上の滞在が求められるようです。これは「永住権の取得に10年必要なのに、日本国籍を取得する方が簡単なのはなぜなの?」という素朴な疑問に基づいています。
とはいっても、元日本人の方のみであれば、原則として滞在年数要件が求められない簡易帰化があるので、この要件はあまり問題とならないと思います。問題となるのは、生まれも育ちもカナダ国籍の配偶者がいる場合で家族全員で帰化する場合です。この場合にどのような扱いになるかが今後の焦点になるかと思われます。
また、「日本社会に融和していること」を今まで以上に強調する一文が付け加えられています。これが危惧している対象は、難民申請等で日本に滞在しているが日本の常識やルールを守らず、自分たちの宗教や価値観を強く押し付けてくるタイプの外国人を想定していると思われます。
現在では社会的な注目も高くなっており、政府としても何らかの対策を行っていることを打ち出さざるを得ない状況と思われます。「日本社会に融和していること」が条件となると思われますが、具体的に何を基準に判断されるのかは今の所全くめどが立っていません。
こちらの条件もカナダ国籍の方であれば別段問題になるようなことはあまりないかと思われます。
しかし、最も影響があるのが、帰化申請の混雑ぶりです。現在は今までに見られないぐらいに法務局(帰化申請を受け付ける役所)が混雑しています。
従来はまず法務局に相談に行き、それから申請書類を集めて本申請という流れでした。しかし、現在は「相談に行きたい」と申し出ると、「予約してください」と言われますが予約枠は10か月先まで埋まっている状況です。これでは申請するまでに1年、審査に1~2年以上、トータル3年程度の長丁場となっています。
現状ではこれを避けるために住所地を新潟などの地方に移し、比較的すいている地方法務局で帰化申請を行う動きも見受けられます。
なぜこのような混雑に陥っているのか?原因はいろいろあると思いますが、1つは「経営・管理」ビザの規制強化があります。
日本で「経営・管理」のビザを最も活用していたのは中国大陸の方々でしたが、資本金額の増加、従業員の雇用義務、経営者の経歴要件の追加など、本気で日本でビジネスを行う方でないと取得はできないように改められました。逆に言うと、個人事業主レベルで「経営・管理」を取得していた方々の行き場がなくなり、帰化申請に殺到している状況ではないかと思います。
そこに上乗せで「帰化申請も厳しくなるらしい…」との噂が広まり、条件が厳しくなる前に早く申請してしまおうとの方が殺到しています。
この他には、既に「永住権」をお持ちの中国大陸出身の方々が「帰化申請」を検討している流れを強く感じます。「永住をもっているのだから、わざわざ日本国籍をもつ意味ないでしょ?」と思われるかもしれませんが、状況はかなり複雑です。
最近の中国大陸の変化に危機感を覚える方も多く、中国籍を維持するリスクを意識される方も多いようです。多く見られる例としては、「父親が政府の要職に就いている」、「共産党員になっている」、などの場合で、お子さんと奥様がいる家庭では、「せめて家族だけでも安心で幸せな生活を…」との願いを託して、お父様は除外して帰化申請する例が増加しています。
誰もが実情をなかなか話してくれませんので詳細は分かりませんが、家族の幸せを願う苦肉の策であることはお察します。
いろいろな要因が重なっていますが、もし日本に帰国して帰化申請をお考えの様であれば早めに行動することを強くお勧めします。
今後の動向はわからない部分が多いのですが、専門家としてお客様をしっかりとサポートしていきたいと思います。




