スケートカナダ・ゴールドメダリスト木原三浦ペアとワールドカップカナダ代表|オリンピック選手もサポートするカナダ公認マッサージ・セラピストが教える身体と健康【第102回】
フィギュアスケートのグランプリシリーズの第2戦カナダ大会で木原三浦ペアが優勝し、金メダルを持ってコンディショニングにきてくれました。北京での冬季オリンピック団体戦で銅メダルに大きく貢献してから一気に注目度が上がったスケーターです。
メディアで囁かれるように彗星のように突如現れたわけではなく、長い間色々な問題点をトロントで地道に解決しながら辿り着いた晴れ舞台です。先日「徹子の部屋」にも出演していました。
同じフィギュアスケートですが、男子女子シングル競技と比較すると、明らかに注目度が低く世界試合に行ってもたくさん駆けつけているTVクルーに目の前を素通りされたりと悔しい思いも長年味わって来ました。人気が低いということはスポンサーが集まりにくく、必然的に練習環境を整えるのが難しくなります。
木原三浦ペアとの出会い
どうしてもコンディショニングなど表面から効果が見えにくい部分は後回しになって、コンディションが整えにくい状況に陥っている時期でした。
以前、木原選手がアメリカを拠点にしていた頃に、私は同じフィギュアペアのカナダで練習していた日本人女子選手たちをサポートしていたので面識のない木原選手のコンディションが思わしくない事は把握していましたが、実際に体を見せてもらうと噂通りでした。
一度、引退も覚悟したという状況だったので、体を一から作り直すプロジェクトをスタートしました。長い間、体が動かないせいで演技が上手くいかない悔しい思いをしてきているので、TAD流のアプローチで体が良い方向に変化すると2人とも敏感に反応してくれました。
コンディショニングが上手く波に乗ってきてから表面化したのはペア競技ならではの問題点
写真でも分かるように、木原選手と三浦選手のボディーサイズの違いはスロージャンプやツイストといった三浦選手を持ち上げたり、スローするのには有利に働きますが、二人のスケーティングをシンクロさせるような時は歩幅も大きく違う木原選手のスケーティングに小柄な三浦選手がついていかなくてはいけないので、負担が大きいことに気づきました。
コンディショニングにおいても、同じ演技をしているのに全く違う疲れ方をする2人を、どの様にバランスするかが一番のポイントです。練習拠点のオークビルから夕方の渋滞時に1時間半もかけてトロントまで2人一緒に来てくれるので、コンディショニングの際は練習時のお互いの動きや疲れ具合などを聞きながら「間違っている体の動きはないか?」「練習のボリュームは的確か?」など細部まで、その場で生の情報を吸い上げ、答えを導きながら進めていきます。
問題点の把握は私だけが行うのではなく、不具合のある動きを実際に見せてもらう(ジャンプを実際に目の前で何回もしてもらったりします)など3人で相談しながら探っていくのです。
ペアスケートは、ミスが大怪我に直結する危険な競技でもあるので、完璧なコンディションを提供してあげることにより、少しでも緊張感や恐怖感を和らげて気持ちよく試合や練習に臨んでもらう事を心がけています。
サッカーWorld Cup Qatar2022「Team Canada」
掲載させて頂いた写真はカタールへ出発する前日の忙しい日程の中、最終調整にわざわざ来てくれた時のものです。「Mr. Toronto」と呼ばれる、Jonathan Osorio選手と「イケメンMidfilder」Mark Anthony Kaye選手とのサンドイッチショット、そして「レジェンドDiffender」Doniel Henry選手。
サッカー選手にとっては一番の夢であるワールドカップメンバーに選出されたプレーヤーたちとの出会いは色々な事を学ばされる機会となりました。サポートさせてもらうだけでも光栄というレベルのプレーヤーが3人も来てくれただけで我が家は一足早いWorld Cup Qatar 2022ブームです。
しっかりとした管理体制のもとで調整が行われているので、私自身も少しでも貢献できる様に全力で取り組みました。と言っても特別変わった事をするわけではなく、いつものTADメソッドを基本通りに行います。
最終的にはいかに気分良く大会に旅立ってもらうかなので、たくさん会話をしたり体の改善された部分を説明して自信をつけて貰ったりし、神経の昂りを鎮め大舞台の前の心の静寂を創り出すように心がけて、最後は家族全員でカナダ国旗を振って我が家からカタールへ送り出しました。
日本代表との親善試合も組まれ、数週間後には全世界から注目を浴びるスーパースターたちの抱える一抹の不安を払拭できるサポートになっていれば良いと思っています。日本代表同様にカナダ代表への皆さんの応援宜しくお願いします。