磨かれた養殖技術と名産物の食材と柑橘でフーディーなカナディアンを魅了 小沢カナダ主催 愛媛県産フードフェア
愛媛県からは愛媛県農林水産部農業振興局長の道管稔氏やホテルグランフォーレで調理師を務める森實大輔氏、そして愛媛県酒造組合の栗栖美恵子氏らがトロントに渡り、愛媛県産食材の魅力のアピールを行った。
冒頭の挨拶で伊藤恭子総領事はフェアを企画した関係者と来場者に感謝を表した。和食が2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されて以来、日本では観光客が増加傾向にあり、日本政府もこれを機に海外に向けて和食を積極的に発信するため、日本国内のレストランや生産者たちと戦略策定を行い、それに基づいた企画を展開しているとした。その結果、2017年には8073億円の輸出額に到達することができた。そしてこれを2020年までに1兆円まで伸ばすために現在様々な取り組みがなされているとのことだ。カナダにおいても日系レストランの人気によって日本産食材の輸出は増加の傾向にあり過去5年でその額は2倍にはなった一方で、カナダのマーケットにおいてまだ1%のマーケットシェアしか占めていないため課題は多い。しかしこうしたまだ伸びしろのあるマーケットを開拓することこそが進出をすすめる鍵となると述べた。
また、伊藤総領事は愛媛県について四国を構成する県の1つであり、温暖な気候と豊かな食材が魅力であると紹介を行った。その中でもみかんやみかんジュース、そして魚や日本酒が有名であるとした。食材以外では今治タオルがとても有名であるとした上で、ハリウッドセレブも使っているタオルとして先日キャサリン・ウィンオンタリオ州首相にも同製品を贈ったそうだ。最後に総領事は今回のフェアが日本食材に触れる貴重な機会であり、これを機に愛媛県産食材の人気が向上することに期待を寄せた。
変化に富んだ豊かな自然の中育まれた食材・お酒を皆さんに楽しんでいただきたい
愛媛県農林水産部農業振興局長の道管稔氏は登壇すると参加者と関係者に謝辞を述べた。そして、愛媛県については「海も山もあり、変化に富んだ豊かな自然が特徴です。その自然の中で様々な農林水産物、魅力的な食材も数々ございます」と語り、愛媛県産食品フェアという形で人気の日系レストランでカナダに対してアピールする機会を得られたことが嬉しいと笑顔を見せた。
愛媛県では実は40種類以上の柑橘のの栽培をおこなっているだけでなく、ハマチの養殖が日本で一番盛んに行われており、現在積極的にそのような食材のブランドを発信し、世界各国に売り込んでいるそうだ。日本酒も銘酒が多く、この日のために県内に42箇所ある蔵元の中から石鎚山という日本で一番高い山のふもとで作られた石鎚真精大吟醸(石鎚酒造)を始めとした様々な日本酒も日本から持ってきた。道管氏はこのフードフェアを通じて愛媛の食材、お酒を参加者が楽しみ、楽しい時間を過ごせれば嬉しいと挨拶を締めくくった。
食材以外で愛媛県の特産品としてこの日紹介されたのが今治タオル。参加者が食事と共に使えるよう、今回はお手拭きとしてテーブルに置かれていた。今治タオルには120年以上の歴史があり、お土産としても人気を博す。県内には40の製造者がおり、今治タオル工業組合という組織まで結成され、その高い品質を維持することに努めている。今治タオルは組合が設定した厳しい審査項目を通過したものだけがつけられる名前であるからこそ安全で丈夫な製品がつくられている。その信頼性からホテルや病院に留まらず、京都のミシュラン2つ星でもVIP用お手拭きとして使われているとのことだ。
みかんぶりなど愛媛ならではの食材と銘酒を合わせたマッチングディナー
今回のフェアには石鎚酒造から4種の日本酒、そして愛媛県産の茶葉を使ったお茶とみかんジュースが食べ物と一緒に用意された。石鎚酒造は、「手作りの酒」を信条とし、質の高い日本酒造りを行っている。その手仕事の極みと自信を持つ最高峰の日本酒がこの日注目を浴びた真精大吟醸。手仕事の極み、と言われるだけあり、厳選された米を丁寧に全て手洗いし、発酵中のもろみは毎朝夕温度をコンマ1度単位の徹底的な管理をされている。そうして最後の絞り段階では加圧を行わず、袋吊りで丁寧に雫酒のみを取り集めて瓶詰が行われるのだ。心を込めて作られたこの大吟醸はフルーティーかつキレのある仕上がりとなっており、特別な日の乾杯に是非とも飲んでほしい日本酒だ。このほかにも純米吟醸緑ラベルや純米吟醸無濾過中汲み山田錦、そして純米大吟醸槽搾りなども揃っており、参加者が楽しそうに食べ物合わせて日本酒を嗜む様子が見受けられた。
また、愛媛県のホテルグランフォーレでシェフを務める森実大祐さんが登壇し、フェアでのメニューには愛媛県産食材を使用し、Zen Japanese Restaurantのシェフを始め様々なスタッフの協力があって実現できたメニューだと紹介した。
この日のために考案されたメニューは愛媛県産食材を使った9品を参加者たちは試食することができた。海鮮類では愛媛県で養殖された鯛やハマチ、大型ぶり、日本でも人気のみかんぶり、そして名産のヒオウギ貝、農産物では柑橘や里芋をカナダ人好みの味付けと盛り付けとなっていた。別名虹色貝ともよばれるヒオウギ貝は、オレンジ色のものが展示されていたが、オレンジ色以外にも真っ赤なものや青いものとその色は多岐に渡る。これらは着色をしているのではなく養殖などを通じて自然と色がついてくるそうだ。会場で参加者たちは綺麗に盛り付けられた食べ物の写真を撮ったり、シェフ自慢の料理に舌鼓を打ち、美味しいという声がどこからともなく上がっていた。
大盛況のうちに幕を下ろした愛媛フードフェア。2020年の日本産食材輸出目標額1兆円はとても高い壁のように思えるかもしれないが、愛媛県をはじめとした地方自治体やカナダの日系レストランがタイアップする姿を前にするとその目標も達成は近いのかもしれない。
高い養殖技術力を誇る愛媛県の鮮魚は使い勝手がよく、臭みもない
農林水産部水産局漁政課 企画流通係
千葉 眞佐光 係長
本日のお料理の特徴は愛媛県産の鯛、ブリ、ヒオウギ貝を活かせるような料理にしたことです。ちょっとひねって素材の良さを出すのではなく、洋風にしてなおかつ素材の良さを失わないよう気を付けました。経験上、日本人と欧米人の美味しいという感覚は若干異なりますし、見た目も大事になってきます。味についてはカナダの方が濃く、日本は薄味という形で違います。愛媛県の食材は実際に使ってみると、その使い勝手の良さには驚きます。養殖でも技術が向上したおかげで臭みもなく、特にみかん鯛はみかんの味がするわけではないけれども臭みが見事に抑えられています。今後も愛媛県産食材には大きな期待をしています。
カナダには将来の大きなマーケットとして希望が見えるフェアとなった
農林水産部農業振興局
道管 稔 局長
今回のイベントのきっかけは愛媛県産食材を世界各国に売り込んでいきたいという中でカナダとご縁があり開催に至りました。メニューを見ますと、どの食材も普段我々の身近にある食材を使っているのに、また新しい料理方法を考えていただくことができ、私も試食するのが楽しみでした。本日はカナダで日本食を提供されている方々に我々愛媛の食材を知っていただく機会が設けられてとても嬉しいです。これまでにアジアではこのようなイベントは何度かやらせていただいているのですが、カナダでは初めてでした。こちらにはアジア系の方も多く、市場としての可能性を感じました。これからヨーロッパや北米の他の場所でも宣伝に力を入れていきたいと思っております。