「憧れはキングカズ、ブラジルに行きたくて仕方なかった」元プロサッカー選手/ 現サッカーエージェント長岡 郷さん(前編)|Hiroの部屋
今回登場いただくのは、ブラジルやヨーロッパ、そしてカナダのサッカーリーグでも活躍された元プロサッカー選手の長岡郷さん。現在はエージェントとしてサッカーチームと選手の間に入るプロの世界の裏方として世界を飛び回る。共通の友人を通して16年前に知り合ったというヒロさんとの3回にわたる対談で、前編の今回はなぜ日本ではなく海外を活躍の場に選んだのかを話してもらった。
大スターからの「頑張れ」
ヒロ: 2008年に出会ってから16年が経ちましたね。夏限定ですけど、今はトロント在住で、更にこのページに出てもらえるとは、嬉しい限りです。
長岡: 共通の友人から「アナタたちはきっと仲良くなれるよ」と、ヒロさんを紹介してもらったんですよね。事前に美容師とは聞いてましたけど、やはり服装も髪型も凄く派手で、印象は強烈でした(笑)
ヒロ:僕は外見よりも、郷くんの話を聞いて、「なんだこの子は!?」って感動レベルで、すぐ大好きになりましたね(笑)。高校3年生の時に憧れていたサッカー選手の三浦知良さんに会いに行ったとか。
長岡: そんなこともありましたね。高校卒業後にブラジルに留学しに行こうと思っていたので、カズさんの著書を持ってサインとメッセージをいただきにイベントまで会いに行きました。実際にお話することもできて、「僕、カズさんみたいにブラジルに長期で行こうと思っています」って言ったら、「大変だと思うけど頑張れよ」って言ってくださったんですよね。それだけでしたけど、もうドキドキでしたよ。
高校卒業後にブラジル留学
ヒロ:僕も高校から海外留学に行きたい気持ちはありました。でも裕福な家庭でもないし、自分で貯金して20代前半で行こうとなりましたが、郷くんが高校卒業後にブラジルに行こうと思った理由は?
長岡: 僕も中学卒業後に行きたくて周りに「ブラジルに行きたい」と、ずっと言ってました。でも、母は賛成しなくて、とりあえず、地元の大阪で高校進学しました。高校3年時には、監督から大学推薦の話もありましたが、「ブラジルに行きます」と伝えましたね。そしたら「郷が暴走し始めた」と言われて、個人面談もしましたが、留学代理店にも問い合わせ済で、先生にも安心していただけてブラジル行きが決まりました。
ヒロ:今は、サッカー選手にとって海外挑戦は身近な印象ですが、当時はどうでしたか?
長岡: 昔は圧倒的に少なかったですが、今はヨーロッパも行きやすいです。実は最近ではJリーグで契約できなかった方がアジア、特に東南アジアに行くことが多いんです。そういう方々を助けるエージェントも増えました。昔に比べるとSNSもあり、選手自らチームに連絡も取れるし専用サイトで動画を載せたり自分を売り込んだりできる時代なので、僕の時代とは全く違いますね。
ご縁が繋いだカナディアンサッカーリーグ
ヒロ: 郷くんはこれまで、ブラジル以外にもヨーロッパ、そしてカナダでの経験がありますよね。
長岡: そうですね。ブラジルは1年の留学ビザで行ったんですけど、ご縁があり、とあるチームのテストを経て、1ヶ月間トライアウト後に入団することになりました。ブラジルで3年間過ごし、知人からポーランドのチームを紹介してもらい、そのチームに加入して、さらにそこからフランスのチームの話をもらい、最終的にカナダの話ももらったという流れでした。色々な国に行っていますが、運が良かったと思います。
ヒロ: カナダの話というのは具体的にどんなものだったんですか?
長岡: フランスにいた時に「トロントFC」の練習に参加できるという話がありました。でも実際に、カナダに来たら約300人の中でトライアウトを受けるということを聞いて正直、帰ろうかなと思いましたね(笑)。でも、ゼッケンを渡されてボールを蹴り出すとムキになるもので、1次、2次の試験を受けたんですけど最終まで残ることができました。それでも結局、「今年は誰もトロントFCに加入できません」と言われて。「なんだそれ!?」と思ってたら、あるスタッフから「俺のチームなら契約できるぞ」と言われたのが、カナディアンサッカーリーグでした。その人がウルグアイ人でポルトガル語が少し話せるという縁もあり、当時の友達にもカナダに行くって言ってしまっていたので、すぐにヨーロッパに戻るのも違うなと思って、「もうええわ」という感じでサインしました。
ヒロ: すごいですよね。日本に帰ろうかなという考えは全くなかったんですか?
長岡: ないです。一時帰国はありましたが、挫折して日本に帰りたいとかは全然ありませんでした。僕もヒロさんと同じで海外挑戦したくて、ブラジルに行きたくて仕方なかったから苦悩は一度もなかったです。
ヒロ: 海外の環境が自分に合っていると思うから?それとも自分を奮い立たせる何かが海外にあるから?
長岡: やはり三浦知良さんの影響はとても大きかったです。ブラジル帰りの選手で、日本でも大活躍してヨーロッパも行かれましたよね。僕は高校時代からJリーグでのプレーを考えなかったし、海外での現役時代も日本のサッカーを知った方が海外と比べれるとは思いましたが、いつも「やっぱり今のチームがいいな」と思い、ずっと海外にいましたね。
(聞き手・文章構成TORJA編集部)
長岡郷さん
1984年5月23日生まれ。大阪府出身。私立北陽高校(現関西大学北陽高等学校)卒業後、単身ブラジルに渡伯。同年アヴァイFCに加入。U20サンタカタリーナ州選手権に初の日本人選手としてプレイする。その後カナダ、ヨーロッパでプレイし2018年に現役を引退。現在はサッカー代理人として活動し、世界中を転々とする。
Hiroさん
名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。NYの有名サロンやVidal Sassoonの就職チャンスを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ就職。ワーホリ時代から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再びトロントのTONI&GUYへ復帰し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今もサロン勤務を中心に、著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。世界的ファッション誌“ELLE(カナダ版)”にも取材された。salon bespoke
130 Cumberland St 2F647-346-8468 / salonbespoke.ca
Instagram: HAYASHI.HIRO
PV: "Hiro salon bespoke"と動画検索