英語の受け身/受動態|めるものえいご【第9回】
My father gave me this watch. =This watch was given to me by my father.
中学の時、なぜか病的なまでにしつこく、こんな書き換えをさせられた記憶はありませんか?「同じ意味の英文になるように書き換えなさい」という言い方で、受動態はテストでなぜかやたら出てきます。そもそも同じやったら書き換えいらんやんけ!と暴れたくなります。普通の文のカタチをわざわざ「be動詞+動詞の過去分詞形」と変形させるのだから、そこには意味があります。
受動態は、主語が~されるんでっせ、とその主語がどうなるか、という部分に焦点を当てた文です。誰がそれをしたのか、という部分は正直、あんまり重要視されていません。学校では、あたかも、「by+行為者を後ろにくっつける」のが当たり前かのように習いましたが、実はその逆。by以下は無いのがどちらかというと普通です。
受動態とはこんなカタチ。
①誰でもいいやん。大事なのはそこやないやろ、パターン。
Your application to study or work in Canada has been approved. あなたのビザ申請は許可されました。
ビザ申請の際に書いてある文言ですね。「審査官のうち、誰が決定したとかはどーでもいいでしょ。とにかく許可ですよ。」という意味の文です。結果をもらった人も、誰が出してくれたか知った所でどうでもいいですね?手続きの場合など、その結果や手続きだけに注目する場合、受動態を使うことが多いです。
②敢えて“誰が”やったかについては控えます、パターン。
Your application to study or work in Canada has been rejected / denied / declined.
あなたのビザ申請は却下されました。
同じ文ですが、「Officer George. T has rejected your application…(ジョージ審査官があなたの申請を却下しました)」と書かれていたら、ジョージに殴りこみに行きたくなりますよね?ミスがありました、欠陥がありました、などのようにネガティブな情報を伝える場合も、受動態が好まれます。
③いや、普通に考えたら分かるやん、それ、パターン。
English and French are spoken in Canada. カナダでは英語とフランス語が話されています。
この文を見て、「あ~ドイツ人がね~。」と思う人がいたら、びっくりしますよね。普通に考えて、話すのはカナダ人やカナダに住んでいる人、例外はあるかもしれませんが。分かり切っていること、または一般論の場合は、わざわざ書きません。
④例外って言いつつ多すぎ、by使わずに“何が”“誰が”を示すパターン。
The house was covered with snow. (雪で覆われている)
I am so disappointed in you. (お前には失望させられた。)
中学では、「by以外を使う受動態/受動態を使った連語表現」などと言われ、なぜかそこだけは説明なしで暗記させられます。そして実は受験に死ぬほど出ます。そんな嫌がらせのような連語たち。「By+人」よりも使用頻度がよっぽど高いので、色々な表現を覚えてください。①~③は、「物」が主語になることがほとんどですが、④は特に感情を表す表現とともに「人」が主語になることも多いのです。よく間違える、I am bored.(オイラ、ひま。)もこのパターンに入りますね。I am boring.では、「私は退屈な人間である」と卑屈な感じになりますからね。
最初の例文からも分かる通り、受動態を使うと文字数が多くなり、何やら難しい感じの文になります。そのため、ネイティブが書くビジネス文書などにおいて、多用される傾向があり、ビジネス書類の講座などでは、「受動態(Passive voice)を使いすぎないこと!!!」というアドバイスが必ず出るほど。特に口語の場合、短く簡潔に言った方が意味は通じやすいですので、迷ったら受動態は避けた方が無難ですよ。
海野 芽瑠萌(Merumo Unno Thorpe)
日本の進学塾にて英語文法・受験対策で5年以上の指導にあたり、数多くの生徒を関西の有名高校へ合格させる。カナダでは英語教育者としての経験と、自身の留学経験を生かしながら留学エージェントへ勤務、その後語学学校にて更なる経験を積んだ後、2012年、トロントで最大規模の留学エージェントBRAND NEW WAYを起ち上げる。現在トロントマネージャーかつカナダ統括ディレクターとして、実践のみならず知識・教養としても役立つ語学留学の提供を目指す。