オンタリオ州書式の賃貸契約書 『スタンダードリース』|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第36回 】
今回は、2018年からはじまったオンタリオ州書式の賃貸契約書(Residential Tenancy Agreement, Standard Form of Lease、以下スタンダードリース)についてお話したいと思います。
スタンダードリースとは?
スタンダードリースは、オンタリオ州が定めた書式の賃貸契約書で、2018年4月30日以降に締結された賃貸契約についてほとんどの場合求められる契約書です(ケアホームやモバイルホームパークなど一部の住宅形態は除外)。
今回3月1日から改訂版が発表され、3月1日以降の賃貸契約においては新しいバージョンのスタンダードリースを使用する必要があります。
スタンダードリースは、オーナーが作成しテナントに確認・サインをしてもらう必要があります。全部で14ページあり、1~7ページ目は記入部分、8~14ページ目は賃貸契約法に基づくオーナーとテナントの義務と権利を記載しています。
スタンダードリース1~7ページ目の記入部分の内容は次の通りです。
- 契約の当事者であるオーナーとテナントの名前
- 賃貸借を行う物件住所や駐車場の台数、コンドミニアムかどうか
- オーナーとテナントの連絡先
- 契約開始日・賃貸期間(契約期間終了はテナントが即刻退去したり契約を更新または新たに契約し直さければいけない、という意味ではありません)
- 賃料・賃料支払日・支払い方法など(ベースレントに加えて、駐車場代など他の追加費用がかかる場合、内訳および合計賃料を記載。将来的な賃料アップについてはこの合計賃料に基づいて計算されます)
- 賃料に含まれる光熱費やサービス(電気・ガス・水道、インターネットなど)
- 賃料のディスカウントやディスカウント期間(ディスカウント期間が終了したら、テナントは⑤で定めた合計賃料および法に基づく賃料上昇分を支払う必要があります)
- 賃料デポジットの有無と金額(オーナーは受け取った賃料デポジットをダメージデポジットとして使うことはできません)
- キーデポジットの有無と金額
- 喫煙のルールについて(賃貸物件の建物内部の共有部分においては喫煙することは法律で禁じられています)
- テナント保険について(テナントはオーナーに対して損害に関する保険に加入する必要はありますが、自分の家財について保険に加入するかは任意です)
- 賃貸物件における内装(絵やカーテンなどを変更するときはオーナーの許可を得る必要があります)
- メンテナンスと修理について
- 契約の名義変更と又貸しについて
- 追加条項について(最低10ポイント以上の文字サイズで追加情報について記載し付帯書類とします)
- 契約内容の変更について(変更は書面で記載する必要があります)
- 双方のサインページ(契約の当事者は全員サインをする必要があります。テナントがサインした後21日以内に、オーナーはテナントへスタンダードリースのコピーを渡す必要があります)
スタンダードリース8~14ページ目の記載部分はテナントご自身も目を通しておく必要があります。特にテナントとして知っておいてほしい主な内容な次の通りです。
・契約更新
賃貸期間の終了は、即刻の退去や更新を意味するものではない。固定期間やマンスリー契約だった場合、テナントはマンスリー契約として賃貸している物件に継続して滞在することができる。
・契約解除
固定期間やマンスリー契約だった場合、最低60日以上前にオーナーへ通知する。解約通知にはLandlord Tenant Boardが定めた書式を用いる。
・賃料アップ
オーナーはガイドラインに基づき12か月を過ぎる毎に、テナントへの90日前通知により賃料を上げることができる。ただし2018年11月15日以降に初めて賃貸された住宅、あるいはオーナーがLandlored Tenant Boardから承認を受けた場合は賃料アップ上限のガイドラインの適用外となる。
・バイタルサービス
9月1日~翌年6月1日の間、オーナーは室内温度が20℃以上になるようにメンテナンスをしなければならない。
・オーナーの賃貸物件への立ち入り
修理、点検、買主候補による内見、住宅ローン融資機関担当者の訪問、その他合法的な理由がある場合、24時間前通知によりオーナーは立ち入ることができる。緊急時、テナントが同意している、賃賃貸期間終了前における8〜20時の間の借主候補による内見(テナントへの通知について合理的に努力している場合)の際には、24時間前通知なし立ち入ることができる。
・ペット
コンドミニアムルールでペット飼育を禁止している場合、退去の対象となる。
【エージェントを介さない賃貸契約の場合】
このスタンダードフォームが唯一の契約となります。オーナーからスタンダードフォームを渡されたら、サインする前に、8~14ページの記載内容と照らして確認しましょう。
【エージェントを介している賃貸契約の場合】
オファー(賃貸申込み)の際にはオンタリオ不動産協会の書式の契約書を使用します。これは双方が契約内容について提示、修正し最終確認するために必要です。最終内容が確定したらスタンダードリースも作成し双方でサインします。
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