築年数の違いによる物件の特徴と留意点|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第44回 】
トロントではダウンタウンでも郊外でもあちこちで新しい住宅の建設が見られますね。今回はコンドミニアムを例として築年数の違いによる物件の特徴と留意点についてお話したいと思います。
トロントでは、日本のように築年数が古いと売却価格や賃料がどんどん低くなってしまう、ということはあまり見受けられません。私自身もトロントに来て驚きましたが、日本では「○○年○月築」と物件資料に築年数の詳細が記載されているのに対して、ここでは築年数が書いていないケースがほとんどです。
言い換えれば築年数が物件価値を決める大きな要素になっている日本に対して、トロントでは築年数も考慮はされるものの、それより学区や治安の良さなどのエリア自身の魅力、CNタワーやオンタリオ湖が見えるなどの眺望や階層、お部屋の内装状況(家電設備の新しさ含む)などが物件価格を決める大事な要素となっています。
築年数がとたとえ100年の物件でもロケーションがよければ価値は下がらず、築浅の物件と同じような価格で取引されることも珍しくありません。
ダウンタウンのコンドミニアムを例に、築年数の古い物件と新しい物件の特徴を比較してみましょう。
築年数の古い物件
❶ 部屋面積が広い
同じ程度の賃料の場合、面積が広いお部屋であるケースが多いです。部屋面積が大きいと、リビングやベッドルームが広い、バスルームの間取りがゆったりしている、ランドリールームに収納スペースがある、などが違いが出てきます。例えば、1000スクエアフィート以上の2BRのお部屋をお探しの場合、該当物件の築年数は古いケースが多いです。広いお部屋をご希望の場合には、建物は古いけれど内装がきれいなお部屋がおすすめです。
❷ 造りがしっかりしている
10年以上前に建築されたコンドミニアムは、当時は高級コンドミニアムとして建築されている物件が多く、建物の敷地面積が広く、建物自体もゆったりしていて、お部屋やバルコニーの造りなどがしっかりしている物件が多く見受けられます。
❸ アメニティが豪華
ツインタワーで建てられた場合などは特に、ジム、インドアプール、パーティールーム、ビリヤードルーム、ボーリング、ゴルフシュミレーション、テニスやスカッシュコートなどアメニティが非常に充実しているコンドもあります。最近は、メンテナンスがかかることを理由にジムはあるけれどプールは無い、という物件も増えてきました。
築年数の浅い物件
❶ 水回りがきれい
築浅物件の一番の特徴は、これまでの居住者が少ないので水回りがきれいなことです。特にお風呂周りや洗面台はきれいでカビも少なく、デザインやライティングがおしゃれで使いやすいケースが多いです。
❷ 家電が新しくて便利
築古物件ですと、キッチンの冷蔵庫や食洗機などは白くて古いデザインの場合も多いですが、築浅の物件はステンレスのおしゃれなデザインの家電で揃っていたり、キッチンのパネルと同じ色やデザインで統一化されたおしゃれな設備であるケースが多いです。アプライアンスと呼ばれる基本家電設備(洗濯機・乾燥機、冷蔵庫、食洗機、オーブン、調理台、電子レンジ)は、入居時や入居中に壊れたらオーナーが修理する責任はありますが、壊れてなければ古いからといって取り替えてもらえるものではありません。きれいな家電や水回りが一番大事な要素になる場合には、築浅物件の方がおすすめです。
❸ 内装のデザインや色合いがおしゃれ
築古の物件は1Fのロビーがクラシックで豪華なコンドミニアムが多いですが、築浅物件の場合、モダンでスタイリッシュな感じのロビーが増えています。お部屋も築浅物件はフローリングやパネル、キッチンカウンターなどおしゃれな色合いが多く、その後のインテリアのコーディネートがしやすい物件が多いです。
次に築古物件と主に新築物件を借りる場合の気を付けたいポイントについてお話したいと思います。
築年数の古い物件の留意点
❶ 経年劣化による修理代の負担
経年劣化による基本家電やその他の部分については、基本的にオーナーが修理の責任を負います。しかしながら最近は、例えば100ドル以下の修理はテナント(入居者)が自分で負担する、などと定める契約が非常に多くなってきました。もし修理が頻繁に起きた場合には、自分の修理負担額も大きくなってしまいます。物件は契約書に書かない限り、基本的に現状引き渡し、となります。築古物件の場合は築浅に比べてメンテナンスの必要性も多くなることについて予め留意し、借りるお部屋の基本家電が新しく替わっているか、古いままか、部屋の他の部分で修理が必要な箇所はないか、などについても内見時に確認しましょう。
❷ 入居時の点検が大事
オーナーはテナントが入居する際には、すべての基本家電やその他がきちんと動く状態であることを保証する必要があります。鍵を受領する入居時や入居後数日の間にはお部屋をよく点検して、修理が必要なものがあればすぐに伝えましょう。また退去の際にオーナーと認識のずれがないよう、お部屋の気になるキズや汚れについては、入居時に写真を撮って、オーナー側と共有しておきましょう。
新築物件の留意点
❶ アメニティは未完成であることが多い
デベロッパー(建設会社)はコンドミニアム建設の場合、まず部屋ができたら、他は完成していなくても順次オーナーへ引き渡しを行います。そのため、部屋はできていて入居できるけれど、エレベーターはまだ板が張ってあるままだったり、廊下は未完成というケースも少なくありません。特にアメニティは最後に完成される場合が多いので、せっかく入居したのに自分が住んでいる間にアメニティが活用できなかった、という可能性もゼロではありません。ジムは絶対すぐに使いたい!というご希望の場合には、内見時にアメニティの状況についても確認しておきましょう。
また、新築物件の場合、デベロッパー(建設会社)はオーナーに対して1年以内に不具合箇所の修理を行う保証期間を設けています。日本のように完成引き渡し時には何も問題がないのではなく、住みながら1年の間に完成させていく、というスタイルと認識です。そのため新築物件に住んだ場合、お部屋によっては点検や修理の人が自分の部屋に立ち入る可能性が高い点についてご留意ください。
❷ レントコントロールの対象外の可能性
オンタリオ州では住宅に対するレントコントロール(賃料アップ制限)を行っていますが、2018年11月以降に建設され初めて貸出される部屋については、レントコントロールの対象外となります。そのため、オーナーは12か月毎に任意で賃料をアップできる点についてご留意ください。
「古くても広い部屋がいい」のか、「狭くても綺麗な部屋がいい」のかは、それぞれのニーズ次第かと思います。入居後にトラブルとならないよう、内見時や契約内容をしっかり確認しましょう!
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