使い捨てプラスティックの 使用禁止|トロントの居酒屋風雲児【第41回】
ようやく暖かい日が続き夏らしくなってきたトロントですが、先月はラプターズの優勝で大いに盛り上がりました。初優勝がかかっていた事もあり、私もバスケットボールファンではありませんが、やはり試合が気になる日が続きました。カナダで唯一のNBAチームであり、地元トロントのチームが初優勝したことは本当に嬉しい事ですし、今回の優勝はトロント市民にとって、またカナダ国民にとっての誇りになると思います。これからももっともっとカナダが、そしてトロントが世界で注目されると嬉しいですね。
ここ最近、世界中で問題視されているゴミ問題ですが、先月カナダのトルドー首相が使い捨てプラスティックの使用を早ければ2021年にも禁止する方針を発表してカナダでも深刻に考えられ始めました。
現在カナダでは年間300万トンものプラスティックごみが廃棄され、国内で使用されるプラスティック製品のうち、リサイクルされるものは10%未満と言われています。カナダ政府はどの種類を規制対象にするかはまだ未定のようですが、プラスティックバック、ストロー、ナイフ、フォーク、スプーン、皿、マドラーなどが含まれる可能性があると言われれています。
トロントでは数年前からスーパーなどでのプラスティックバックの有料化が義務付けられましたが、モントリオールでは去年からは使用も禁止され、世界でも100以上の地方政府でプラスティックバックの使用規制措置をとっています。
またプラスティックストロー廃止への動きはカナダでは数年前から加速していて、バンクーバーでは今年から使用が禁止されていますし、大手企業のスターバックスでは2020年までに世界中の全店舗でプラスティックストローの廃止を発表して話題になりました。マクドナルドやA&Wなどのハンバーガー店やスイスシャレーやKEGなどのレストランも紙製ストローへの切り替えを発表しています。プラスティックストローの代わりに注目されている紙製のストローですが、コップに入れておくとふにゃふにゃになってしまう物もあったりとまだまだ問題点はあるようですし、コストの面ではプラスティック製が約0.5セント、紙製が約5セントと1本あたりの価格が約10倍も高くなってしまう事もあり、飲食店側としてはかなりの負担になります。
他にもガラス製や鉄製、竹製などのストローも色々と販売されていますが、1本1本を中まで洗う手間や衛生面を考えるとすこし不安な部分もあります。しかし、カナダ国内だけでも1日に約6千万本ものストローが使用されていると言われ、お隣のアメリカでは1日に約5億本、世界では約10億本以上ものプラスティックストローが1日に使われていると考えると、やはり減らしていくしかないように思います。
2021年までのあと1年半で、本当に全面禁止になるかはまだ疑問ですが、私たち一人一人が真剣に取り組み、少しでも綺麗な地球にしていけるように努力するしかないように思います。トルドー首相は『子供の親として私たちは今や、子供たちを海水浴に連れて行っても、ストローや発泡スチロールやペットボトルが散らばっていない砂浜を探すのに苦労する状態だ。この問題はなんとかしなくてはならない』と述べていましたが、私も父親の一人として、次の世代である子供達のためにも真剣に取り組んでいかなくてはいけない問題だなと思います。まずはエコバックを持ち歩く、無駄なプラスティックストローは使用しないなどから皆さんも始めてみませんか?
小笠原 克 Ogasawara Masaru
日本ではファッションブランドGapでアルバイトからマネージャーまで7年間勤務、新規店の立ち上げや日本売り上げNo.1店舗での管理職を経験し、2005年にワーキングホリデーでバンクーバーに渡加。ファッション業界からの転身となるが、調理師免許保持や両親の飲食関係の仕事の影響などもあり、大人気居酒屋Guuでワークビザを取得し男前店で副店長を務める。その後2009年トロントでのFC立ち上げ総責任者に任命されトロントへ。寒い冬でも毎日行列のできる大繁盛店となり、トロントの日本食パイオニアとなる。2014年にはKinkaFamily Inc.の副社長に就任し、居酒屋の他、ラーメン、寿司、焼き鳥などのブランドを管理、2015年10月末GuuとのFC契約終了とともに独立・起業。現在は世界で皆に愛される飲食店を開業できるようにと奮闘中。