ウチナンチュウの日から見えた日系コミュニティーの力|カナダ新移住者とトロント日系コミュニティー | カナダニュース報道局



10月26日、沖縄県人会の「ウチナンチュウの日」が行われました。モントリオールや日本からゲストを迎え、会場は沖縄らーめん店「通堂」の隣にあるレストランでした。店内は県人会メンバーで満席になり、子どもからシニアまで多くの人が踊りや歌を楽しんでいました。皆さんが故郷・沖縄を思いながら心を通わせている様子は、文化や言語の違いに関係なく、その場にいる人を思わず巻き込む楽しさがあり、私も気づけば一緒になって踊ってはしゃいでいました。

県人会の原点である懇親会が世代を超えて続いているのは、海外で暮らす人にとって「ふるさとを思う気持ち」が変わらないからだと感じます。2022年に県人会連合会が立ち上がって以来、私は30近い県人会に触れてきました。50年続く会もあれば、新しく生まれた会もありますが、どの懇親会にも不思議な一体感があり、その“変わらない心”に毎回驚かされます。時代が変わっても失われない大切なものを教えてくれているようです。
実は今、休暇でドイツに来ており、移動中の電車の中でこれを書いています。地域が変われば生活や食べものも大きく違っていて、その違いがとても新鮮です。これまでトロント以外の地域に目を向ける余裕があまりなかったように思います。

ところが、昨年から全カナダ日系人協会の新移住者委員会に参加し、半年前から委員長を務めるようになってから、カナダ各地の移住者や日系人に出会い、その土地を直接訪れる機会が増えました。委員会メンバーもバンクーバー、ビクトリア、オタワなど全国にいますし、最近はユーコンの若いボランティア活動家や、モントリオールの経験豊富な活動家とも知り合い、それぞれの地元での日系コミュニティーの様子を聞く中で、同じカナダであっても規模・構造・ニーズが大きく違うことを実感しました。それがとても新鮮で、その土地に合った自然な形でコミュニティーが育っていくのだと改めて気づかされました。

日系コミュニティーは自由に広がり、形を変えながら続いていきますが、地域では届きにくい情報が必要なときには、他地域とのつながりが大きな支えになる可能性があります。地域ごとの良さを大切にしながら、必要に応じてゆるやかに連携することで、それぞれの団体の力がより発揮されていくのではないかと思います。こうしたつながりを意識しながら、2027年のカナダ移住150周年に向けて、皆でできることを少しずつ考えていきたいです。

文章=原あんず
トロント都道府県人会・連合会会長
全カナダ日系人協会(NAJC)
新移住者委員会(JNIC)委員長







