トロントの本屋さん2023年4月『上級国民/下級国民』『タコピーの原罪』『正欲』
こんにちは!んにちは!4月号のトルジャは「数字を見るシリーズ」で「犯罪」の特集ですね。
橘玲著『上級国民/下級国民』(小学館)から紹介したいと思います。「上級国民」は近年では2015年に起きた東京オリンピックエンブレム騒動で「一般国民」に対をなす言葉として使われその年の流行語大賞の候補にもなったそうです。
本書は、バブル崩壊後の日本でどう「下級国民」が生み出されたか、また令和の今何が起きるかを見る第1部、上級と下級の分断が「モテ/非モテ」につながっていることを論じる第2部、この分断が日本だけではなく世界中で進んでいることを考察する第3部から成り立っています。非モテのことをアメリカでは「インセル(Incel)」と呼ぶそうです。2018年4月にトロントで起こった自動車暴走事件もインセルが背景にあるそうで、非モテのテロリズムとして犯行の動機を考察しています。新潮新書から出版された「言ってはいけない」シリーズも話題となりました、気になる方は是非手に取ってみてください。
『少年ジャンプ+』での連載開始から注目度も高く、コミックの表紙も衝撃的だったのがタイザン5著『タコピーの原罪』(上・下、集英社)です。地球にハッピーを広めるために訪れたハッピー星人タコピーは、学校から帰宅中の小学4年生のしずかに助けられます。そのお礼としてしずかを幸せにするべく「ハッピー道具」を駆使するも、同級生のまりなからいじめを受け家庭にも問題があるしずかを笑顔にすることができません。ある日、しずかの心の支えであった愛犬チャッピーがいなくなったことに絶望した彼女はハッピー道具の一つ「仲直りリボン」を使って首を吊ってしまう。タコピーはしずかを幸せにするため「ハッピーカメラ」を使って何度も過去に遡りやり直すが、悲劇を回避することができず…。ハラハラするタイムリープ物です、結末は如何に!?
朝井リョウ著『正欲』(新潮社)は柴田錬三郎賞を受賞、本屋大賞等にもノミネートされ、2023年に映画も公開されます。
多様性を尊重する時代に、その多様性の枠の中にも入れない人たちは、どう生きたら良いのでしょうか。息子が不登校になった検事の啓貴、初恋に目覚めた女子大生の八重子、秘密を抱える契約社員の夏月、それまで全く接点のなかった3人は、ある人物の事故死をきっかけに社会的に許されない繋がりへと導かれていきます。
ネットスラングで「無敵の人」も初めて知りました。社会的に失うものが何も無いために、犯罪を起こすことに何の躊躇もない人を意味するインターネットスラングだそうです。(ウィキより)音異義語と混同されかねないタイトルの真意は、最後まで読めばストンと腑に落ちますよ!
それでは、また次回お会いしましょう!
トロントにある日本の本屋さん Blue Tree Books
Blue Tree Books(J-town内)では、日本の本や雑誌を販売しております。話題の本はもちろんのこと、英語・その他言語のテキスト等も取り扱っています。店頭にない商品も、もちろん日本から取り寄せいたします。是非気軽にお越しください。3160 Steeles Ave E, Toronto(J-Town内)
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