留学カウンセラーが説く留学の心得 Vol.15
East-Westカナダ留学センタートロントオフィス 高林紘子
カナダに渡航して学校が始まり最初の数日が経つ頃になると、かなりの高い確率でその生徒さん達がオフィスにやってきて、何となく浮かない顔をされ「相談があるのですが…」と言って私の前に座られます。 カナダに渡航して数日が経ち緊張ばかりの学校生活がはじまり、早速現地の現実の壁にぶち当たってしまったというご相談です。 中には私の前に座ったとたん、涙をポロポロ流しだす方もいらっしゃいます。それは、現地に来てみたら思っていた以上に生の英語の難しさや文化習慣の違いなどへの戸惑いがあり、学校の他の人が自分より出来ているように見え、学校のクラスについていけている気がしない、というものです。クラスでやっている内容は分かるけど、クラスメイトはすごく話せるのに、自分は上手く話せず、自分が取り残されているような気がする、と言うような相談をしょっちゅう頂きます。そういった心のカウンセリングをする際に私が必ず引用する言葉があります。
到着編2:「Sink or Swim」の精神で、自分のペースでよいので少しずつでも前に進むことを考えましょう!
この“Sink or Swim”という表現は実際に私が留学生で初めてESLのクラスを取り始めたばかりのときに、まさにみなさんと同じような気分を味わっていた際に丁度学んだイディオムの一つで、その時にぐっと心に入り込んだものでした。意味としては、「沈むか泳ぐか」。つまり何か厳しい環境に身を置かれた際に、そのままその厳しさに負けて沈んでしまうのか、それとも何とかその中を泳いで行って前に進むのか、というものです。その泳ぎ方は人それぞれでよいと思います。自分のペースもあると思います。ただ、大事なのは何とかその厳しい環境の中でも自分なりに前に進み始めれば、段々とその環境にも慣れてきて泳ぎ方のコツも掴めてくるのだと言うことです。
学校では今まで日本では体験したことのない「完全英語制」の環境で、国籍や文化やバックグラウンドが全く異なる人達と肩を並べて勉強をしていくわけですから、慣れていない環境に飛び込んだことは分かりきっていることです。その中で初めからすんなりクラスについていき話ができていたら、そもそもその環境に入った意味がないのです。
他の国の人がよくしゃべれているように見えるのは、自分がついていけないからではなく、その人達はたまたま日本人よりも元々自国で英語に触れる機会やしゃべる量などが多い環境から来たからだけなのです。また英語とはもともと言語が似ていたり、アルファベットを使うところは同じであったりしたら、もちろん文字も文法も言葉も一切異なる日本語を使っている私達とは最初のスタート地点が異なるわけです。ただ、レベルが違うと言うことではなく、ただ単に違う環境から来ているからだけなのです。ですので、まずは英語が出来るかできないかではなく、その英語の環境に慣れていくことが最初の大事な一歩なのです。そこを、「ついていけないから」といって一つ下のレベルに下げようと考えたり学校を辞めようと思ったりする方のお話を聞いていると非常に残念に思います。環境が違うところに来たのだから、最初は慣れなくてやりにくいのが当たり前なのですが、それを最初から「出来ない」と判断してしまっては、先が思いやられます。
ある意味この「Sink or Swim」は、最初の学校の環境に限らず、これからの留学生活で、そして更にはこれからの人生において沢山苦境に遭遇していくであろうことを考えた際に、いつも心に強く刻んでおきたいイディオムですね。
East-Westカナダ留学センタートロントオフィス日本マーケットマネジャー。 静岡県出身。2001年語学留学でトロントに渡来。語学留学とビジネススクール、ワーホリなどを経たのち、ジョージブラウンカレッジに入学。貿易とビジネスマネージメントを学び成績上位者Dean’ s Honour のタイトルを得てPost-Graduate Diplomaを取得。カレッジ卒業後、現職に就き就労ビザを経て永住権に至る。