「海外視察と人との出会いは勉強の連続」元プロサッカー選手/ 現サッカーエージェント長岡 郷さん(中編)|Hiroの部屋

高校卒業後にブラジルに渡り、これまでヨーロッパやカナダのサッカーリーグで活躍されてきた元プロサッカー選手の長岡郷さん。引退後は選手とさまざまなサッカーチームの間を繋ぐ仲介エージェントとして、現在は海外を飛び回る日々を送っている。その中で、現役時代には気づけなかった日本と欧米サッカーの違いなど多くの気づきもあったという。
増える日本から海外への道

ヒロ: サッカーをする人にとって、郷くんが海外に出た頃よりも今の方が海外に出やすいって話していましたよね?
長岡: 確実に出やすくなりましたね。サッカー選手を目指す子どもの数は減らないと言われていて、留学系の会社にとってはもはや鉄板ビジネスのようになっています。
SNSで売り込みもできるし情報も取りやすいので、海外との距離はとても近づいたと思いますね。美容師の業界でも海外に出て一旗揚げようみたいな意識が高まっていますか?

ヒロ:長年の経済低迷や今の円安を背景に、海外で一時的に働きたい人はいても、海外での成功を夢に抱く人は増えていないと思えます。韓国、アジア希望は少し増えたかもしれませんが。

長岡: サッカー業界は、むしろ海外と近くなり過ぎていると思います。海外のスカウトが日本に来て、選手にオファーするのが普通になってきてます。
それ以外でも今年、レッドブルがJリーグの大宮を買収しました。それによって、レッドブルが所有するドイツやオーストリアなどのチームから選手が日本に来やすくなります。逆に、素晴らしい日本人選手にとっては、新しい海外挑戦への道ができたわけです。
縦に強い欧米 横に強い日本

今は選手とクラブをつなぐエージェントとして世界中で活躍する長岡さん
ヒロ:日本と欧米サッカーの違いは、どんなところに感じますか?
長岡: 一言で言えば、欧米のサッカーは縦に速く、日本は横に上手いです。どっちが良い悪いではないですが、得点を競うスポーツだと考えると欧米の方が、より「サッカーしてる」と感じます。
僕は仲介業として、欧米サッカー関係者は「上手い」より「できる」を求めると感じます。
微妙な違いですが、例えば、サッカー上手な子はボール扱いが上手く、パスを横に出す。でも、サッカーができる子はゴールを目指して前にパスを出せるんです。だから、日本で評価されない事が欧米では評価され、選手として価値を上げたりします。
ヒロ:いつ、その違いに気づいたんですか?

長岡: 現役時代は気付けなかったです。世界中でサッカーをして、突き抜けて上手い選手とも対戦しましたが、考える余裕がなかったのかもしれないです。
でも、30歳を過ぎて一歩離れてからいろんな人と話したりクラブを見に行ったりする中で、「こっちのやり方の方が効率良いな」と気付けたのかなと思っています。
違いを知ったことで、この選手は後でバズるなというのもわかるようになりました。
仲介業をしているとクラブ関係者や監督などとも話しますし、マイナーな国にも行くし、いろんな選手を見に行くことがいつも勉強になっていると思います。
男女格差はある程度仕方ない
ヒロ: 女子サッカーも世界的に人気があると思います。美容師の世界では男女差は感じないですが、サッカー界はどうですか?
美容師の世界では男女差は感じないですが、サッカー界はどうですか?
長岡: あまり女子サッカーに関わったことはないんですが、以前アメリカの女子サッカー選手が男子サッカーの年俸が高いから女子も年俸を上げるべきだという話をしたそうなんですね。
でも、僕はそう思わないです。やっぱり体力やレベルの差があって、男子サッカーと同じ待遇は無理だと思います。

ヒロ: プロスポーツは、スポンサーや外的要因と大きく関わるので、女性も男性と同じにはできない部分もありますよね。給料というお金の話をする以上、ビジネスとして、各選手やチームが生む額も違うから難しいですよね。
例えば、モデルの世界では女性の方が需要があり、男性より給料が高いと思いますし。
長岡: 難しい問題ですよね。お金は、ファンからもいただきます。そのファンが強烈なシュートや、スピード感あふれるプレーを見たいなら、どうしても女子より男子の方が人気になります。
年俸は違いますが、女子は産休中のお給料があり、妊娠などを理由の理不尽な解雇がないようにFIFAが守ったりと男子にない保証があります。そういう女子のアドバンテージもあり、やっている部分はあると思います。
(聞き手・文章構成TORJA編集部)
長岡郷さん
1984年5月23日生まれ。大阪府出身。私立北陽高校(現関西大学北陽高等学校)卒業後、単身ブラジルに渡伯。同年アヴァイFCに加入。U20サンタカタリーナ州選手権に初の日本人選手としてプレイする。その後カナダ、ヨーロッパでプレイし2018年に現役を引退。現在はサッカー代理人として活動し、世界中を転々とする。
Hiroさん
名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。NYの有名サロンやVidal Sassoonの就職チャンスを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ就職。ワーホリ時代から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再びトロントのTONI&GUYへ復帰し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今もサロン勤務を中心に、著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。世界的ファッション誌“ELLE(カナダ版)”にも取材された。salon bespoke
130 Cumberland St 2F647-346-8468 / salonbespoke.ca
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