園長先生!気付けば息子も大きくなりました・・・第15回 「日本と北米の食生活」
20年前に誕生した「池端ナーサリー・スクール」。その園長であり創設者の池端友佳理さんのそばにはいつも日系三世のご主人・マークさんと現在21歳で大学在住中の健人くんがいた。母親であり、教育者であり、また国際結婚移民をした友佳理さんとその家族の笑いあり、涙ありの人生をシリーズで振り返ります。
文■池端友佳理 (池端ナーサリー・スクール園長)
先日、アメリカのニューヨーク市が、市民の肥満対策として、レストランや映画館などが 販売する炭酸飲料の容器の大きさを制限する新たな条例案を可決したと聞いた。北米での肥満の問題は子供達にも大きく降り掛かって来ている。学校内でも炭酸飲料水などの販売を禁止する様になったが、もちろん飲み物だけが問題な訳ではない。
学校給食制度が定められていない北米の各地方では、小学校ではお弁当、中高校ではカフェテリアでの食事購入が一般的だが、栄養バランスを考えた食事はほとんどみられない。唯一とも言える野菜も少量の生野菜が中心だ。しかも、カロリーの高いドレッシング付き。
学校内にカフェテリアのない高校、またはあってもなお、学校近くのファストフード店で食事を済ませる学生も多い。
ずいぶん前の話になるが、アメリカで、「子供が肥満になったのは、その子が○○のファストフードばかり食べていたからだ。そのファストフードの店頭には、何が何カロリーと表示していなかったために、その子はカロリーが分からず食べ続けてしまい、肥満になってしまったのだ。」と、訴えた親が現にいた。判決は、この親子の勝訴。最近ではファストフードなどでもカロリー表示が義務づけられている。
せっかくのお弁当もサンドイッチやパスタ系が多く、サンドイッチで言えば、ハムならハムだけ、玉子なら玉子だけ、下手をするとジャムサンドで野菜も肉もない事だってある。パスタで言えば、ミートボールとトマトソース、マカロニとチーズなど…お野菜はどこー?? と、叫びたくなるような食生活も普通である。もちろん、北米でも、食生活を気にしている家庭もあるのはたしかだが、日本の様に、お昼のお弁当まで気を配れる家庭は、まだまだまれと言えるであろう。
池端ナーサリースクールでは、給食である。しかも、そのメニューは、誇るべき園の象徴の一つ!(これ、ほんと。) 日本人の給食室の先生が、お野菜たっぷり、おいしくて栄養バランスのとれたメニューを考え、実際に調理もしてくれている。
開園して間もなくの事であった。当時の給食室の先生が長期休暇の際、デイケアや学校専門の給食ケータリングサービスを受ける事にしようと、いくつかの会社から、月の献立表を送ってもらった。しかし、それを見て驚いた。
メニューの例…。『ホットドッグ、コーン、セロリスティック、りんご』野菜・果物の成分表部分に、(セロリ、りんご、ケチャップ) …。
えっー。待って、待って!ケチャップは野菜で良いのか??しかも、この単純な献立…。『ミートスパゲティ、コールスロー、バナナ』野菜・果物の成分表部分に、(キャベツ、バナナ、トマトペースト、ケチャップ)またもや、ケチャップ!!そう、ケチャップはトマトから出来ているので、野菜に分類されていたのだ。では、大豆が原料の醤油は、たんぱく質への分類かっ、と思わず突っ込んでしまった。もちろん、醤油はどこのケータリング会社にも載っていなかったが…。とにかく、昔の事であるので、今は多少は改善されているかも知れないが。(されている事を願っている。)
和食はヘルシーであると言う、半ば常識になっている通説を科学的に立証された事があった。
まず、日米の国民栄養調査を基に、最近の両国の代表的な1週間のメニュー各21食分を選択。日本食はさしみや雑炊、オムライスなどで、米国食はハンバーガーやフライドチキンなど。調理済みの食事を凍結乾燥、粉末にして混ぜた後、それぞれ8匹のネズミに3週間食べさせる。すると、日本食のネズミでは、コレステロールや脂肪を分解する複数の遺伝子が米国食の1.5倍以上に活性化していたのだ。しかも、実験後に肝臓内にたまったコレステロール量は、米国食の方が1割以上も多かったとか。
和食ほどバランスが取れていて、健康的で、種類も豊富な食事は他にないのではないか、とも思う。私もカナダに住むようになってから、食生活が、当たり前のようで、当たり前でない事と気付かされた。日本人である事を、和食を、こうして口にする事が出来る環境を、有難いと思わずにはいられない。
また、子供の食生活を考える際、その環境を与える親自身の食生活が最も大切であり、しっかり見直して行く必要が大いにあるのであろう。
池端友佳理 – 京都出身。大阪の大学看護科を経て同大学病院の産婦人科で看護師として経験後、1990年に渡加。伴侶は日系カナダ人三世。一人息子(大学生)の母。1993年に自宅で池端ナーサリー託児所を開設。1999年日系文化会館内に池端ナーサリースクールを設立。園長を勤める傍ら、カナダ唯一の産後乳房マッサージ師として活躍中。













