園長先生!気付けば息子も大きくなりました・・・第20回 「お道具箱の秘密」
20年前に誕生した「池端ナーサリー・スクール」。その園長であり創設者の池端友佳理さんのそばにはいつも日系三世のご主人・マークさんと現在21歳で大学在住中の健人くんがいた。母親であり、教育者であり、また国際結婚移民をした友佳理さんとその家族の笑いあり、涙ありの人生をシリーズで振り返ります。
文■池端友佳理 (池端ナーサリー・スクール園長)
我が池端ナーサリーでは、園児全員がお道具箱を持っている。日本では、入園前や就学前に『必要物品』リストが配られ、それに沿って保護者は必要なものを用意するが、カナダの幼稚園や小学校ではこう言った文房具用品は学校側で用意される。キンダーガーデンではマーカーやクレヨン、鉛筆やノートも全て用意される。クラスの中で、必要な時に必要な文具が机の上に置かれ、子供たちは好きに使い、元に戻す。小学校では文具はもちろん教科書も支給される。日本のように時間割りと言うものがあり、毎日教科書やノート、必要物品を子供たち自ら確認し学校に持参する、と言う形式ではない。教科書もノートも教室で保管してくれ、文房具用品も学校が支給してくれるのだ。子供たちは疎か親ですら何の心配をする事もないのだ。至れり尽くせりで、何とも有り難く素晴らしいシステムではないか!!
….その通り、親も子も楽が出来、何の心配もいらぬ状況は良い事もあれば、子供たちにとって助けにならない事もあると思う。
ここで、冒頭の一文に戻るが、我がナーサリーでは、各ご家庭で個々の子供たちのために『お道具箱』を用意してもらっている。各園児が違う文房具類を違うお道具箱に入れて持ってくる。もちろん、同じ種類の物を持っている子たちもたくさんいる。なので、もちろん園児の名前を各物品に付けてもらう。そして、自分の物品をいかに大切に使うかを指導する。簡単な様で、実はこれが非常に難しいのである。まず、子供たちが自分の持ち物を自分の物だと自覚できる事、それらを大切に使い、使った後も適切に片付け(例えばマーカーやスティックのりの蓋を閉める行為など)、それを自分のお道具箱に戻す事を学ばねばならない。他の園児の物品と混じらないようにするなど、年齢を経てラーニングは初級、中級を経て、非常にハイレベルな域まで達するのだ。“自分の物は自分で”と言う意識は訓練すれば鍛えられる。自分でうまくお片付け(管理)出来ないと、マーカーやのりは乾いて使えなくなるし、使えたい物が使いたい時にないかもしれない。そう言った、「しまった、ちゃんとしておけば良かった」と言う気持ちを感じる事も大切な一環なのだ。自分の“お道具箱”を持つと言う事は、早い時期から自己管理能力を付けるための最適、最高な訓練であり、必要なプロセスであると私は信じている。また、それだけでなく“物を大切にする”と言う、基本中の基本も自らの物であるからこそ大切に…そこから、周りの物をも大切に…と広がって行くのではないだろうか。
親は、確認を手伝ってあげるべきだとは思うが、子供たちが自己管理、自己責任の能力を身に付けるためには周りが手を出しすぎてはならない。日本の小学校の時間割も同じく、子供たちが毎日次の日の時間割を確認し、必要物品を子供たちが自ら用意する事は お道具箱と同じような要素が含まれている気がする。
私としては『自分の物も大切に、そして他人の物も大切に。自分の事も大切に、そして他人の事も大切に』と思ってくれる子供たちが増えて行って欲しいと願っている。
池端友佳理 – 京都出身。大阪の大学看護科を経て同大学病院の産婦人科で看護師として経験後、1990年に渡加。伴侶は日系カナダ人三世。一人息子(大学生)の母。1993年に自宅で池端ナーサリー託児所を開設。1999年日系文化会館内に池端ナーサリースクールを設立。園長を勤める傍ら、カナダ唯一の産後乳房マッサージ師として活躍中。













