園長先生!気付けば息子も大きくなりました・・・第31回「オリンピックと愛国心」
20年前に誕生した「池端ナーサリー・スクール」。その園長であり創設者の池端友佳理さんのそばにはいつも日系三世のご主人・マークさんと現在21歳で大学在住中の健人くんがいた。母親であり、教育者であり、また国際結婚移民をした友佳理さんとその家族の笑いあり、涙ありの人生をシリーズで振り返ります。
文■池端友佳理 (池端ナーサリー・スクール園長)
もうすぐソチオリンピックの開幕ですね。特に冬のスポーツはカナダも日本も共に大活躍ですから、手に汗握って見入ってしまいます。この私のコラムでもオリンピックの事については以前に触れた事がありますが、何度書いても足りないくらい本当にワクワクさせられます。
国を代表してプレッシャーを背にしながら世界の大舞台に立つアスリート達。どの場面にもドラマが生まれ、感動を与えてくれて、観る人たちの胸を熱くしてくれますね。私は日本で生まれ育ちましたので、当然日本人である事を誇りに思っています。また、自分の人生の半部以上の年月をカナダでも過ごしている訳ですから、もちろん日本とカナダどちらをも応援します。自分の思い入れがある国があるとは、なんと幸せな事でしょう!!
話が少しそれますが、今年のお正月はデトロイトにウィンタークラシックと言うアイスホッケーのとても大きな試合観戦に行って来ました。トロントメープルリーフス対デトロイトレッドウイングスの試合ですが、2チームのファンがスタジアムの観客席真ん中できれいに半分半分に分かれており、気分的には皆カナダ対USAの試合となっていました。大勢の観衆が野外スタジアムのアリーナで両国の国歌斉唱しましたが、”OH! CANADA”を大声で歌った時は、その熱い盛り上がり状況が私の体中に伝わって来て、鳥肌が立ちました。こんなにもカナダは私の中に浸透していたんだ…と我ながら驚いたほどです。オリンピックなら各国の誇りを掲げての戦いになる訳ですから、世界中が熱くなり、愛国心が深まるのもよく分かります。
ただ、残念ながら、日本ではどうしても『愛国心』となると戦争に絡んだ歴史上の問題が浮上し、同時に”日の丸”や”君が代”の問題が背景にありますから、カナダのように国歌斉唱、国旗掲揚が一般化される日が来るのかすら分かりません。この場で私はこの問題に着いて議論するつもりもありませんし、正直、私はこの問題に関して無知すぎるので、ここでは違う意味での愛国心として捉えて頂ければと思います。
過去のオリンピックでは政治的戦略にオリンピックが利用されて来た事実がいくつも残っていますし、今も政治がらみのプレッシャーをアスリートにかけての出場という国もあります。まだまだ戦乱の渦中にある国もたくさんあります。応援出来る国がない人だってたくさんいます。命をかけて自国から逃れて来た人は、国に対する思いも私たちでは想像出来ないほどでしょう。
だからこそ、愛する国を持てる私は本当に幸せです。国旗を両手で誇らしげに高々と頭の上に掲げたり、国旗で体を包(くる)んで抱きしめたり、国歌斉唱と同時に掲揚されなびく国旗を眺めるアスリートたちの姿を見ると彼ら、彼女らの愛国心をひしひしと感じます。私はオリンピックアスリート達を素直に応援したい、オリンピックまでたどり着くための並大抵ではない努力とその根性に心から敬意を表したい、ただただそうそう感じています。
カナダで生まれ育った日系子弟の子供達は大した時間を日本で過ごしている訳ではなくても、自分の国として心を込めて日本を応援します…子供達の両親、またもっとさかのぼってのバックグラウンドによっては2カ国以上を応援する子供達も出てくるでしょう。ナーサリーでもこの時期、オリンピックで盛り上がりますが、応援する国の名前を話したり、国旗を作ったりする中、2カ国以上の愛する国を持っているこの子達は、まさに多文化社会の中で生きているのだな〜と、つくづく実感します。
そんな子供達に今回のオリンピックもまた色々な事を学ばせてくれるでしょう。アスリートにならなくとも、ピュアな『愛国心』はこの子供達一人一人にとっての基本となり、やがては国際人として大きな視野を持って羽ばたいて行ってくれるに違いないのだと思っています。
池端友佳理 – 京都出身。大阪の大学看護科を経て同大学病院の産婦人科で看護師として経験後、1990年に渡加。伴侶は日系カナダ人三世。一人息子(大学生)の母。1993年に自宅で池端ナーサリー託児所を開設。1999年日系文化会館内に池端ナーサリースクールを設立。園長を勤める傍ら、カナダ唯一の産後乳房マッサージ師として活躍中。













