【和歌山の味をカナダへ】ジェトロ和歌山、食品ビジネスミッションをトロント・バンクーバーで実施|メイドインジャパンでカナダを攻めろ!
2024年3月21日(金)から25日(火)にかけて、ジェトロ和歌山は県内食品関連企業9社によるビジネスミッションをカナダのトロントおよびバンクーバーへ派遣した。本ミッションは、カナダ市場への販路開拓と和歌山産品の魅力発信を目的とし、両都市の現地企業との商談や市場視察を行なった。
トロントでは2日間にわたり、小沢カナダやZen Japanese Restaurant、Taro’s Fishなどの日本食材インポーターや日本食レストランを訪問し、和歌山産品の魅力をプレゼンテーションをした。
バンクーバーでも、地元のインポーター、高級日本食レストラン、さらにはカナダ国内に複数店舗を展開するアジア系大手小売チェーンを含む計5社を訪問した。
今回のビジネスミッションを振り返って、ジェトロ・和歌山貿易情報センターの屋所長と早和果樹園の上山さん、梅樹園の浦さんにお話を伺った。
ジェトロ・和歌山貿易情報センター屋智洋所長
ービジネスミッションにカナダを選んだ理由を教えてください。
先進国では珍しく人口が増加しているなどその食品市場の将来性や、カナダ市場の販路開拓に関心のある県内食品関連企業が一定数いたことなど、綜合的に勘案して選択しています。
ートロント・バンクーバーそれぞれの都市の市場特性についてどのように評価されましたか?
トロントについては、やはり人口が約280万人(トロント市)でシカゴと同程度という規模、バンクーバーは太平洋に面した立地という物流面での優位性、が各々の特性と考えています。
ー和歌山県産品に対する関心が特に高かった品目や分野はどのようなものでしたか?
訪問先により関心商品は異なりますので一概には言えませんが、和歌山ならではの柑橘類を使用した飲料や調味料、こめ油などへの関心は高かったように感じました。
ー今回のミッションを通じて見えてきた、和歌山県産品がカナダ市場で今後強化すべき点や課題を教えてください。
アルコール飲料については、カナダ特有の制度・流通形態があることもあり市場参入が容易ではないと感じています。
ー商談の手応えはいかがでしたか?
訪問した現地企業の中には、紹介した商品の中で関心のあるものについて、数時間後には見積り依頼など次のアクションについての連絡がきており、この意思決定の速さに日本企業側もしっかりと対応していくことが市場参入に向け重要であると感じました。
ー今後、カナダとの継続的な商流構築に向けて、ジェトロ和歌山としてどのような支援やフォローアップを予定されていますか?
今後、継続的な商流構築に向け企業間でやり取りが行われると思いますが、その中で課題などが生じれば、その解決に向け一緒に対応を検討していきたいと思います。また、カナダに限らず、引き続き、県内食品関連企業の海外展開に向け様々な企画を実施していきたいと考えています。
「早和果樹園」上山裕人さん
ーカナダミッションの参加理由と、トロントとバンクーバー市場の印象
参加した理由は、募集が始まったタイミングで現地ディストリビューターと契約を交わす時だったので、商品がカナダ市場でも通じるか、文化など直接見ておきたいと思ったからです。トロントは経済都市であることを感じ、ビジネスにおいては若干飽和状態かもしれないと思いました。その点バンクーバーは主にダウンタウン付近でしか行動していませんが、まだまだ発展する余地があると感じました。また、アジアや北米、ヨーロッパ、オセアニアなどにも行ったことがありますが、カナダでも日本食の受け入れが非常に良いと感じました。
ー自社商品に対する現地の反応と評価された点
弊社は、みかんジュースをメインにその果汁を使ってゼリー、スムージー、調味料など製造販売している会社ですが、現地のオレンジやみかんと概念が異なり、商品としての味の感想は非常に良かったです。また、みかん果汁を使った『みかんポン酢』があり、そちらは動物性原材料や化学調味料を使っていないので、ヴィーガン向けや健康意識の高い人の需要はかなりあると現地日系バイヤーさんから感想もいただきました。
ーカナダ市場での販路拡大に向けて必要な準備や施策
商品の良さは商談した際に試食や説明で理解してくれるが、やはり小売店などに置いているだけでは売れないので改めて商品を認知していただく必要があるため、試食販売の必要性を感じました。またレストランさんに営業かける際も日系レストランにフォーカスをあてて、料理の価格帯やお店の情報も事前に仕入れておく必要があると思いました。
「梅樹園」浦孝輔さん
ーカナダミッションの参加理由と、トロントとバンクーバー市場の印象
現在弊社では梅干しや梅加工品の海外進出を考えております。そこで、出来るだけ多くの国に訪れ、現地の人や文化に触れることで梅の可能性を模索している段階です。カナダもその一つの国として参加しました。
カナダは多くの移民を受け入れているということもあり、多種多様な商品が販売されているという印象です。今回は日本食レストランやアジア系のスーパーなどに多く訪問したので、日本の食材もある程度受け入れられている一方で、梅干し自体はほとんど販売されておらず、梅干しでの販路拡大のためには梅干しの認知拡大から行っていかないといけないとも感じました。
ー自社商品に対する現地の反応や課題に感じた点
梅製品の中でもオーガニックの梅を使った商品を提案させていただきました。カナダの市場では、生鮮食品はオーガニックコーナーのようなものが設けられてあったり、オーガニック市場自体も拡大しているとの伺いました。オーガニックに対する需要はある一方で、梅干しはカナダに住む日本人向けへの展開が多く、日本人以外の方への認知はまだまだ小さいように感じました。ただ果実の梅の果汁を糖類で抽出する「梅シロップ」に関しては、すごく好印象で、味についても高評価をいただき使用用途としても可能性はあると感じています。
ーカナダ市場での販路拡大に向けて必要な準備や施策
商談の際に梅干しを試食していただいたのですが、梅干しの味を知らない、または苦手な方に対してそのまま梅干しを試食していただくと塩味や酸味が強く受け入れられてもらえないと感じました。日本でも梅干しをそのまま食べる方は少なく、お弁当やおにぎりにしたり、料理に使って食べる方が多くいらっしゃいます。実際に試食してもらう際もおにぎりなど本来梅干しが食べられる形でご提案できればよかったなと感じております。