岩手の復興の光 | 東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第44回】
2016年、岩手県では第71回国民体育大会、略して国体の開催年となります。国体はご存じの方も多いかと思いますが、日本のスポーツのイベントの中でも特に大きなものです。岩手県では2回目の開催となります。1月からスケート競技、2月はスキー競技の冬季国体からスタートし、10月には本大会が開催されます。
2月には、早速第71回岩手国体のスケート競技が開催され、岩手県はスケート競技で入賞が30、天皇杯で8位と過去最高の成績を収めました。
この岩手国体、実は東日本大震災とは切っても切れない関係があります。2011年に下関で開催された国体から5年、東日本大震災の被災地の東北では初の開催となります。
この国体に向けて、東日本大震災前から岩手県は関係各団体と準備を進めて来ました。そんな中で東日本大震災が発災し、一時は国体も出来ないのではないか、という話にもなりました。しかし、その逆境を乗り越え全国へ復興した姿を見せるため、そして全国からいただいた支援への恩返しの意味も含め、「いのちを守り、海と大地と共に生きる、ふるさと岩手・三陸の創造」にむけてここまで準備をしてきました。
1月に開催されたスケート国体では、東日本大震災で大きな被害を受け、そのような中でもいち早く立ち上がった沿岸の久慈市から、震災復興のお礼を込め、久慈市の名物であり、NHK朝の連速テレビ小説「あまちゃん」でも大きく紹介され、B1グランプリでも大好評の「まめぶ汁」のお振舞を久慈市の皆さんがスピードスケート会場であるお隣二戸市の県北青少年の家スケート場で行い、大盛況を収めました。
おもてなしの気持ちや感謝の気持ち、岩手県の皆さんが心からこの国体で全国から集まるたくさんの選手、そして応援の方々に「ありがとう」の気持ちをたくさんこめて接している姿は本当に素敵だな、と思いました。
またスポーツ関連では、春の選抜甲子園大会へ、東日本大震災で甚大なる被害を受けた岩手県釜石市にあります、公立高校の釜石高校が、21世紀枠で出場することも決まりました。2回目の出場だそうです。
釜石高校の野球部の子ども達は、親族を亡くしたり行方不明のままだったり、まだ仮設住宅に住んでいる子どもが半分近くいる、ということで大きな苦難の中、ここまで野球を通して地域に光を届けてきました。
釜石高校は昨年秋の岩手県大会で準優勝して東北大会に進みました。さらには東日本大震災以降、様々なボランティア活動などを通して地域に貢献し、練習場所や練習時間が普通の高校生と比べて限られている中、工夫をしてここまで強くなりました。
エースの子のお母さんはいまだに行方不明のままだそうです。釜石高校には岩手の代表として、ぜひ春の甲子園で旋風を巻き起こしてほしいです。それこそが岩手の復興の光になるのですから。

オンタリオ取扱い代理店:
Ozawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。
南部美人 / http://www.nanbubijin.co.jp

本文:南部美人 五代目蔵元
東京農業大学客員教授