東日本大震災から8年 | 東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第80回】
2011年の大震災から長いようであっという間のような気がします。被災地では毎月11日は月命日で様々な場所で祈りがささげられます。
東日本大震災では、日本国内からたくさんの支援をいただきました。そして、海外からも多くの支援をいただきました。カナダからもたくさんの支援をいただき、たくさんの思いやりをいただき本当にありがたいと思っています。
このコラムを書いている今、私はニューヨークに出張に来ています。厳寒のニューヨーク。アメリカに住む日本人、そして今回はニューヨークの岩手県人の皆さんにもお会いする機会に恵まれました。
私達の感覚ですと、東日本大震災から約8年という長い時間が経過している、と感じていますが、海外に住む日本人、特に被災地出身の方々にとっては、日本からの距離もあることから、お話をしているとまだついこの前のことのようにお話しされる方もいます。すごくありがたい気持ちになります。
日本に住む私達と、海外に出て活躍し、故郷を思う皆さん。時の流れに差があるようですが、海外に住む皆さんの方が今でもたくさんの心配や心配りをしてくれると感じます。いつでもすぐに帰ることの出来ない遠い日本の故郷。そういった思いが私達にもすごく伝わります。
日本は東日本大震災をはじめ、その後もたくさんの災害が起きました。今でも被災地は「忘れられる」ということがとても怖いのです。被災した人達は、家族を亡くし、友人を亡くし、家やコミュニティを失い、今でも前を向けない人が周りにいます。
被災地の外の人にはその現実がなかなか見えないので、もう大丈夫でしょう?と声をかけてくる人もいます。大丈夫な人もいますが、全員が大丈夫ではありません。出来ることならば、もっとスピードをあげて復興が成し遂げられたら、もっと早く大丈夫になる人も増えたかもしれません。
復興を進める県や市町村も頑張っています。何よりも被災地の被災した人や仲間達はさらに頑張っています。そんな姿を日本だけではなく、海外に住んでいる人が見てくれていて、日本に住んでいる人以上に心を寄せてくれていることがとてもありがたいです。
東日本大震災から8年の命日。まだまだやることはたくさんあります。
オンタリオ取扱い代理店:
Ozawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。
南部美人 / http://www.nanbubijin.co.jp
本文:南部美人 五代目蔵元 東京農業大学客員教授
久慈 浩介
岩手県の銘酒として知られる「南部美人」は、カナダ・トロントでも味わうことができる日本を代表する酒蔵で、2011年3月11日の東日本大震災で被災した蔵のひとつだ。5代目である久慈さんは震災直後から日本酒を通じて地域復興の様々な取り組みを行ってきた。本連載では久慈さんが体験したことや復興の取り組みなどを寄稿してもらう。