10月に日本を襲った大型台風で浮かび上がった大きな問題|東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第89回】

 日本は10月になって台風の時期を迎えました。例年台風は日本にいくつもやってきますが、今年は10月に2つも超巨大な台風が日本を襲いました。

 千葉県に大きな被害をもたらした台風15号と、その後やってきて、関東や信州に大きな被害をもたらした台風19号です。特に10月にやってきた台風19号は長野県の千曲川をはじめ、多くの河川の堤防を決壊させて濁流にまちが飲まれました。東京でも多摩川が氾濫し、二子玉川駅周辺が浸水しました。

 私の住む岩手県でも、釜石市が大きな被害を受けました。ちょうどラグビーワールドカップの最中でもあり、2試合釜石の鵜住居復興スタジアムで試合をする予定でしたが、その2試合目が台風にぶつかり試合が出来ませんでした。釜石の皆さんはとても楽しみにしていたのですが、こればかりは仕方ありません。その後、試合をする予定だったカナダ代表が、何と被災した釜石市でボランティア活動を行い、泥の掻き出しなどを買って出てくれました。国を越え、ラグビーの精神の素晴らしさに岩手県民はみんな感激しました。

 また、この大型台風で大きな問題も浮き彫りになりました。成田空港が台風の影響で電車、バス、車、全てが止まってしまい、陸の孤島になってしまいました。飛行機は台風が過ぎれば着陸できます。台風が過ぎる時間にあわせて世界中から飛行機が到着したのは良いのですが、到着した人たちが成田空港から目的地に移動できず、成田空港では1万人以上が足止めをくらい、空港に泊まることになりました。実は私もその一人でした。成田空港を運営する成田空港株式会社は寝袋やパン、水といった非常食を配り、本当によく対応していました。JALやANAをはじめとする航空会社の地上係員も夜を徹して対応にまわり、本当に素晴らしかったです。しかし、想定外ということで行政などの対応は後手に回ってしまいました。こればかりは仕方ありません。

 あとは言葉が全く通じない外国人が多く、英語も話せない人はどんどん孤立していきました。ここに救いの手を差し伸べる術を日本国民みんなで今こそ考えなければいけません。私たち日本人は何とかなるんです。自分の国ですし、ちょっと我慢すれば帰れます。しかし観光や仕事で来た外国人は本当に困るはずです。私も海外によく行きますので、逆の立場でイギリスやアメリカで同じように孤立したらどれだけ不安でしょうか。

 2020年東京オリンピックは来年です。しかもオリンピック期間中は台風のシーズンでもあります。本当の「おもてなし」を形に変えて世界中からお客様をお迎えしたいですね。

オンタリオ取扱い代理店:
Ozawa Canada Inc

現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。

南部美人 / http://www.nanbubijin.co.jp

本文:南部美人 五代目蔵元 東京農業大学客員教授

久慈 浩介

 岩手県の銘酒として知られる「南部美人」は、カナダ・トロントでも味わうことができる日本を代表する酒蔵で、2011年3月11日の東日本大震災で被災した蔵のひとつだ。5代目である久慈さんは震災直後から日本酒を通じて地域復興の様々な取り組みを行ってきた。本連載では久慈さんが体験したことや復興の取り組みなどを寄稿してもらう。