特別寄稿 東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い 第17回
複興食堂で不安ながらもお酒を提供したところ、多くの方々から喜ばれ、本当にお酒は復興のために「必要」とされている、と実感しました。
そんな復興食堂は、2011年5月を皮切りに、土日は沿岸部を毎週まわり、被災地に笑顔と日常を届けました。復興食堂では、様々な催しを行いました。主催している松本哲也さんがシンガーソングライターですので、その縁でたくさんの仲間のアーティストが参加してくれました。中には桂枝太郎さんという岩手出身の落語家も参加してくれて、音楽だけではなく、本格的な落語会も開催することが出来ました。
さらに、キッチンカーでの料理の提供もあり、東京から有名なレストランが来てくれて炊き出しをしてくれたり、と豪華な食事も名物でした。また、被災した子ども達にも楽しみを、ということで、毎回復興食堂では子ども達のために、駄菓子屋をつくり、手ごろな駄菓子や、くじ引きなどの遊びを提供させていただきました。
食べたり飲んだり以外にも、被災した地域では美容室や床屋も全て津波で流されて無かったため、盛岡などから美容師がボランティアで参加して、髪を切ったり、整えたりするサービスもしました。さらに、避難所での生活は想像を絶するストレスと、冷たい床の上に薄い布団で寝なければいけなく、体が凝り固まっている人が多いと聞き、これも盛岡方面からボランティアで整体師の方々が来てくれて、マッサージをしたり、女性は毎日マスクをして化粧も出来ない状況で、あまりにも女性らしく生活できない、ということから、ネイルアートや化粧などのサービスも行いました。
避難所にはたくさんの支援物資が届きどれも全て配給制でしたが、支援物資も全国からたくさん集まり、多少余裕も出てきたので支援物資を「選べる」青空市場をつくり、子どもの長靴などサイズの合わないものをもらっていた家族は、サイズを選べたり、子ども達の好きな色を選べたりと、大喜びでした。
そんな中で、お酒に関しては、多くの方々から喜ばれましたが、一番喜ばれたのは、お酒を飲んで、自分の不安などを吐き出せる場が出来た、ということだったと思います。私はお酌をしながら、たくさんの方々からお話を聞きました。とにかく「聞く」に徹していたら、被災した皆さんは、被災者同士では弱音を言えないけど、同じ岩手で内陸の人には弱音を言ってもいいよね、とたくさん自分の辛さを話してくれました。「聞く」ということが、これほど被災地で必要とされていたのか、と驚きましたが、とにかく「聞く」に徹しました。最後はしゃべるだけしゃべって、皆さん笑顔で避難所に帰って行かれました。お酒の力で少しでも心が楽になれた、と言われた時にはこちらが逆に涙が出ました。
何度も何度も、週末沿岸に足を運ぶ復興食堂。毎回被災地の皆さんの声を聞きながら、どうすれば喜んでもらえるか、どうすれば日常に近い時間を過ごせるか、を考えて走り抜けてきました。復興食堂、これは被災地に絶対に必要なものだったと今では思っています。そして、その復興食堂が何と映画化されます。詳しくは次回にお話します。
オンタリオ取扱い代理店:
Ozawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。
南部美人
http://www.nanbubijin.co.jp
本文:南部美人 五代目蔵元東京農業大学客員教授
久慈 浩介













