特定非営利活動法人 移動支援Rera
知らなかった支援のさまざまな形。
「移動支援」―移動に困っている人の送迎を行う
HP : www.npo-rera.org
FB : www.facebook.com/ishinomaki.rera
「移動支援」とは?
移動支援Reraは、震災直後から、宮城県石巻地区(石巻市、東松島市、女川町)で、移動手段を持たない人々を、行きたい場所へ送り届ける支援を続けている。当初は、4台の車と1週間で変わるメンバーとボランティアで活動を始めた。どのような要請があったかというと、例えば、当初は避難所や自宅の2階(1階を津波に壊され2階に住んでいた人々)などから病院や仮設風呂への送迎、買物、被災した自宅の片付け、対応が追い付かず土の下に仮埋葬された人々を掘り起こしての火葬や葬式の送迎などであり、現在は仮設住宅から病院への送迎などの依頼に応えている。
代表をまかされる村島弘子氏とメンバーは、Reraの活動を通して、被災地に暮らす人々の声に耳を傾け、なぜ活動が必要とされるのかを考えてきた。
変化し続ける被災地の「移動難民」
震災による被害が特に甚大だった石巻地区は、約6万台の自家用車が流出した。そして、避難者が避難所から仮設住宅へ移るとともに、仮設住宅からの移動手段がないという相談を相次ぎ受けるようになる。180ヵ所に分散した仮設住宅の中には、満足な交通手段の通っていない地域が多数含まれている、と分析する。「それでも、健康で年齢も若く仕事に復帰できた人々は、次々と自家用車を購入し、生活を再建させていきました。気が付くと私達の送迎を利用している方々は、心身に障害を持っていたり高齢世帯だったり、病気だったりと、様々な理由で自力での生活再建が難しい方ばかりになっていました。現在の送迎利用者の7割以上が70代より高齢の方々。目的地の実に9割が病院となっています。」移動難民は時間の経過とともに変化し続ける。Reraの利用者の割合で増えているものは、高齢者の通院であり、中でも人工透析や抗がん治療などの重要なもの、また、経済的困窮を訴える人の送迎。減っているものは、プレハブ応急仮設住宅の住民からの依頼だが、これは在宅の住民からの依頼が増えたことに反比例している。
震災前から潜んでいた「移動困難者」を顕在化させた震災
「移動困難者」という言葉を初めて聞く。一般的には心身に障害を持っていたり、高齢だったりという理由のため、公共交通機関で移動できない人々を指すが、被災地では、広く、移動手段を持たず生活に支障をきたしている人々がその状態を余儀なくされる。「被災の影響で生活が苦しくなった人、経済的に大きな打撃を受け立ち直れない人が数多くいることは間違いありませんが、それ以前より同じような困窮状態で生活していた人々もいるということです。そしてその二つは分けることができません。」災害と関係なく日常で持っていた様々な困難要素の多い人ほど、被災した時には生活の立て直しに大きな困難が伴い、また、被災と関係なく、もともと移動手段がなく困難な状況にあった人々の存在が、災害により顕在化したという側面がある、と村島氏は考えている。
持続的な仕組みを整え、全国のニーズに応えるひとつのモデルを目指す
2015年1月、送迎のべ人数が8万人に達する。団体の資金は、市民からの寄付金が半分、そして残りは宮城県からの補助金と民間団体からの助成金で運営する。だが、短期間に終了する補助金と助成金に応募し、しのぎ続けることは苦しい。ただ、この震災で、明らかに日本の「寄付」の意識が変わったように感じていると言う。市民が市民を支える、という考え方が少しずつ根付いてきている、と。現在、「認定」NPO法人の資格を申請している。これを取得すると、寄付者は税制優遇を受けられ、寄付しやすくなる。さらに「福祉有償運送」という非営利事業を行えるよう、難しい課題にも取り組む。収入を増やし、持久力のある団体となるためだ。目標は、今、Reraを必要としているような社会的弱者と呼ばれる人々を支える持続的な仕組みをここで作り、被災地のみならず、全国のひとつのモデルとなることだ。
3月11日も、いつもどおりにひとつひとつの送迎をこなす
現在まで4年間、東日本大震災は被災地とReraの間に「区切り」なく流れ続けている。「被災も、復興も、涙も傷も、終わって始まるラインはありません。ここに住んでいる方々にとって、今は「あの日」の続きでしかありません。4年前に涙ながらに津波に流された子どもの話をしたおばあさんは、今でも同じように車の中で涙を流します。私達の思いも、現在と過去とで切り替わることもなく、ゆっくりと寄り添って揺れ動き続けています。」住民のあまりにも近くにいるために、「節目」で行動のラインを引くことができない。移動支援の打ち切り、撤退も村島氏には、到底考えられない。活動を引き継ぐ先がないならば、どうやって自分達の活動を持続的なものにしていくか、を先ず考える。移動支援の形も現場の声を聞きながら、ひとりひとりに丁寧に対応し、活動の仕組みを変化させながら、整えて現在のReraが存在する。
遠く離れたトロントへ、発信できることが嬉しい
「日本では、オリンピック開催に向けての準備が始まり、被災地が話題にのぼる事は本当に少なくなりました。「もう被災地は大丈夫なんでしょう?」「え、まだ仮設住宅があるの?」という言葉も飽きるほど聞かされてきました。震災直後、政府は被災地の復興に特に力を注ぐ『集中復興期間』を、震災の年から5年間と定めました。2015年度は、その『集中復興期間』の最後の1年間なのです。この1年でどれほどのものが大きく変われるのか、疑問も残ります。ただ一つだけ見えているのは、この1年間が過ぎた後には、今よりもさらにずっと厳しい日々が被災地にやって来るだろうということです。そうなる前にどれだけのことが私達にできるのか、重い重い1年が始まろうとしています。
私達は、復興に取り残された人々がいるということをこれからも伝え続けていきたいと思っています。どうかこれからも、私達の発信に耳を傾けて下さい。どんな形でも良いです、想いを寄せて下さい。よろしくお願いいたします。」
支援金受付口座情報
ゆうちょ銀行
口座記号番号:02210-2-135625
口座名義:特定非営利活動法人移動支援Rera
CANPAN決済サービス
(クレジット・コンビニ決済が可能)
kessai.canpan.info/org/nporera
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(ドコモ利用料金と併せて口座引落が可能)
japangiving.jp/projects/1598