2021年第4四半期の賃貸マーケット|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第49回 】
コロナ対策の規制緩和も進み、4月からはウィズコロナとはいえ元のような日常生活が始まることが期待されています。ダウンタウンも人が戻ってきていることから不動産マーケットも活発で、賃貸のお部屋探しも非常にスピードが速くなってきていると肌で感じています。
昨年第4四半期(2021年10~12月)における賃貸マーケットは、引き続き回復傾向が見られました。トロント不動産協会(Toronto Real Estate Board=TREB)の報告によれば、2021年第4四半期における賃貸物件募集件数は1万6972件、前年同期比48・9%ダウンと半分ほどになりました。成約件数は1万820件と、前年に比べて13・99%ダウンとなっています。
去年の今頃は一昨年のコロナ感染拡大により不動産賃貸激減の影響をまだ受けており、オーナーたちがこぞって募集し、それでもなかなか借手がつきにくいという状況が続いていました。今年の募集件数は前年に比べて半分になったということは、マーケットにそれほど物件が溢れかえっている状況ではないということを示しています。
また、上述の募集件数に対する成約件数を見ますと、2021年第4四半期の成約率は63・7%、前年の同時期の成約率は37・8%となります。成約率は25・9%アップしますので、昨年に比べて今年は実際にお部屋を借りる人が増えていることを示しています。(図1)(図2)
図3の平均賃料を見ますと、バチェラー(ワンルームタイプ)、1BR、2BR、3BRのいずれの部屋タイプも平均賃料は前年に比べて上がっています。成約件数は3BR以外は前年に比べると減っていますが、これは上述の通りマーケットで募集される物件が減っていることにも連動しますので、借手にとってチョイスが減っていることを示しています。
昨年の夏はダウンタウンに人が戻ってきていたことから、コロナ以来の活発な賃貸マーケットとなりました。不動産シーズンが始まった3月からも同様の動きを感じています。1つの物件に対して複数の人が賃貸申し込みをすることにより、賃料が吊り上がるBitting Warも見られますのと、良物件はマーケットに出て1週間以内に無くなってしまうケースも少なくありません。
また、これから夏にかけては賃料が上がっていくシーズンになります。日本のような礼金システムが無いため、トロントでは賃料は需給関係に応じて常に連動します。需要の多い夏は、「少し高めの賃料で募集しても大丈夫だろう」とオーナーが最初から少し高めの賃料で募集をすることも多いです。またオーナーは高めの賃料設定はしていなかったけれど、複数の人からの申込が入ることで結果的に賃料が上がる、ということもしばしばです。
ここ10年、コロナの影響を受けた一時期を除いては賃料は毎年アップし続けています。今後はコロナ前の賃料相場に戻っていくのではないかと予想します。(図4)
図5は第4四半期における各地区のコンドミニアムの空室率です。トロントの空室率は引き続き1.7%、他のエリアも直前の2021年第3四半期と変わらない結果となっています。一昨年2020年第4四半期の各地区の空室率と比較すると、他の地区は空室率が上がっているのに対して、Halton地区だけ0.2%と非常に低い数字を保っています。これは開発や売買が活発になっている同地区への人の流入が多くなっていることを示しています。
これから夏に向けて不動産のピークシーズンが始まりますので、お部屋探しやお住み替えを検討されている方は早目に準備して自分のニーズに合ったお家を探しましょう!
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