People.23 vol.06「トロントの若手ラッパーから紐解くラップ文化の違い」Yuiさん|カナダで挑戦する若者
先日友人の若手ラッパー・TaeHaukのライブを見にトロントのライブハウス「The Drake Underground」を訪問しました。彼は韓国の血筋を持ちながらカナダで白人家族に養子として育てられたバックグランドを持ち、20歳という若さで彼の自身の生い立ち、政治、社会への問いかけをラップミュージックで発信しています。その“語り”の熱量に、私は初めてラップという文化に心を動かされました。
TaeHaukのような、自らの経験や社会のリアルを語るスタイルは、北米ラップの原点にあります。代表的な存在がケンドリック・ラマーです。彼は『To Pimp a Butterfly』で黒人文化の誇りや怒りを詩的に描き、『DAMN.』では宗教や人間の葛藤に切り込みました。そのリリックの深さは、ピューリッツァー賞を受賞するほど社会的影響力を持っています。Taeもまたその系譜にあり、彼のSNSでは政治やアイデンティティに向き合う“リアル”を届けています。そしてそれがファンとの信頼を築き、少しずつブランドになりつつあるのです。一方で、トロント出身の世界的ラッパー・ドレイクはまた違った存在のように感じます。彼は社会問題よりも、自身の感情や成功体験、孤独や恋愛をメロディアスに表現し、POP要素も多く取り入れながら世界中の共感を集めました。ドレイクは“語る”というより“感じさせる”ラップでヒットを生み出し、トロントという街を国際的ブランドに押し上げた立役者でもあります。
では日本のラップ文化はどうでしょうか。もちろん自身を語るラッパーもいますが、韻やスキル、MVでの演出が重視される傾向が強く、あとは音声にエフェクトがかかったオシャレで美しいフローなども多い印象です。社会的メッセージよりも、音楽としての完成度や世界観に魅力を感じるリスナーが多いのではないでしょうか。
纏めると、北米ではアーティストの内面や社会的立場がそのままマーケティングの軸になる一方、日本では「どう魅せるか」が問われ、よりビジュアルや世界観が重視されているように感じます。TaeHaukとの出会いは、音楽を届ける=物語を届けるという原点を思い出させてくれたと同時に、新しい刺激と学びたいという欲求を掻き立ててくれました。ラップというジャンル1つでも国ごとに多様な表現と音楽の在り方があり、それを突き詰め理解することが海外マーケティングでの必須事項であると再確認できました。















