園長先生!気付けば息子も大きくなりました…第57回
「犬に名前をつける日②/パピーミル出身のビオラ」
22年前に誕生した「池端ナーサリー・スクール」。その園長であり創設者の池端友佳理さんのそばにはいつも日系三世のご主人・マークさんと現在23歳で大学在住中の健人くんがいた。母親であり、教育者であり、また国際結婚移民をした友佳理さんとその家族の笑いあり、涙ありの人生をシリーズで振り返ります。

先月、私が深く関与させて頂いた東日本大震災支援目的の大イベント『犬に名前をつける日』の映画が日系文化会館にて大盛況のうちに終了致しました。日系文化会館の傘下である「なでしこグループ」は日本語を話す女性グループで構成されていますが、私もその一員として、今回は日本からわざわざお越し下さった監督と共に時間を過ごす機会を多く頂きました。メンバー全員、何らかの形で動物愛護に関与しており、この映画をサポートするには最適任のメンバーであったと思います。トロントの動物愛護施設と言えば有名な所で、私は監督をToronto Humane Societyにお連れしましたが、日本よりも動物愛護の状況が進んでおり、環境も整っているとの事。またこちらに住む人達の多くの声を聞かれ「人間と動物が共存して生きて行こうと唱え、それを実現しようと努力している姿はとても素晴らしい」と言われていました。
日本では年間およそ12万頭(2013年度・環境省)の犬と猫が処分されているそうで、その比はカナダとは比べ物になりません。野良犬・野良ネコもいますが、飼い主が高齢で飼えなくなったり亡くなったりして連れて来られるケース、また飼い主が自ら処分のために保健所などの施設へ連れて行くケースも少なくありません。飼い主のしつけがうまく出来なかったため吠える、咬むなど凶暴で手に負えなくなった、引っ越しなどで新居がペット禁止、ペットを飼った後に子供が生まれて大変になったから、子供にアレルギーが出たから、ペットの飼育費や治療費が払えない、ペットを飼うのがこんなに大変とは思わなかった等、理由は様々ですが、ひどいものでは「飽きたから」と言うケースもあるのです。
飼い主が簡単にペットの飼育を放棄する理由は、多くの人達がペットを衝動買いしているからとも言えるでしょう。カナダではほとんど無くなりましたが、日本ではペットショップで生体販売をしており、様々な種類の仔犬や仔猫達がショーケースの中で愛くるしい表情と仕草を披露しています。ペットを飼うつもりの人は大抵ペットショップに気にいる仔が見つかるか探しに行くでしょう。ペットを飼う気がなくても、可愛い仔犬や仔猫に魅了されついつい買ってしまう人も多いのです。その仔達がどのような所で生まれたのか、その親犬達はどのような状況で飼われているのか、知る術もなければ想像もできないでしょう。この仔達、特に犬のほとんどはパピーミルからやって来ていると言っても過言ではありません。
パピーミル(前回、前々回とここでも書きましたが)、それは「子犬工場」の事。営利目的で、特に人気の犬種(時にネコやその他の愛玩小動物)を劣悪な環境下で大量に繁殖させる悪徳業者(ブリーダー)。
これからペットを飼おうと思っている方は必ず知っていて欲しい事があります。カナダでもよく人気の犬種と言うのを聞きますが、日本は流行の犬がその時々でファッションの様に移り変わって行くものです。コマーシャルやドラマに出ていたり、有名人が飼っていたりといった感じです。悪徳業者(ブリーダー)はその流行を敏感に捉え、利益を得るための商品をどんどん生産させ、ペットショップに商品を卸すのです。
ですから、まず、ペットショップでペットを絶対に買わないこと!カナダではペットショップに卸せなくなって来ている分、オンラインなどの商品売買と言う形で掲載している事が多くなっています。これらもパピーミルが大いに関係しています。なので、これも同じくネット上の生体売買のサイトから買わないこと!需要があるから供給があるのであって、まずはこれを断ち切らないといけません。
多くの愛護施設や愛護団体の元で今にも消えそうな命がたくさん、新しい家族を求めて待っています。そう言う子達に目を向けて里親になってあげると言う選択肢も入れてもらえないでしょうか。
もちろん、犬種や犬の年齢などにこだわりがある方も多いでしょう。その場合は、必ず信頼出来るブリーダーから、犬の生まれ育った環境なども見学して、自分の目で確認してから譲ってもらう様にして下さい。何よりも、衝動買いを絶対にしないこと。
犬に名前を付ける…それは命に責任を持つと言うこと。動物達は飼い主を選べません。一度家族になった仔は最後の最後まで、愛情をかけて飼ってあげて欲しいと思います。
池端友佳理ー 京都出身。大阪の大学看護科を経て同大学病院の産婦人科で看護師として経験後、1990年に渡加。伴侶は日系カナダ人三世。一人息子(大学生)の母。1993年に自宅で池端ナーサリー託児所を開設。1999年日系文化会館内に池端ナーサリースクールを設立。園長を勤める傍ら、カナダ唯一の産後乳房マッサージ師として活躍中。





