シチリアからイタリア本土へ|紀行家 石原牧子の思い切って『旅』第99回
トロントから海外旅行―おすすめ

これまでに色々な海外旅行をしてきた。その都度、もし日本から出発するといくらぐらいかかるのか興味本位で調べた。目的地がアジア、オセアニア圏でない限り航空運賃はトロント発の方が日本発よりはるかに安い。パッケージツアーで日本語のガイド付きは楽チンではあるが、少し外国語が話せてトロントに住んでいるならここから出発してはどうだろうか。それに自分で選んで行く冒険をした方が貴重な体験ができるはずだ。偶然シチリアで日本人客用の観光バスを見たので、余談だがちょっと触れてみた。
夜の航海―パレルモ発(Palermo)

アルカモ(Alcamo 2月号記)から63キロ離れた首都パレルモでシチリア島最後の1日を過ごす。人口480万人の都市、歴史的建造物にどことなくイスラム文化が漂う(1月号参照)。
街の中心に春夏秋冬を現す4つの大きなビルが立ち、そこでジブシーの女性が息子らしき男性の歌う傍らで踊っていた。遠くの私と目が合い、彼女はお金を出せと言わんばかりに私に迫ってきた。逃げ通した末、小綺麗なカフェに入り、コーヒーを注文し胸を撫で下ろす。
港のメインストリートは車の暴走がすごい。フェリーボートの待ち時間に道の反対側のトイレに行くのも命懸けだ。やっと乗船の時間になり一息ついたところでパレルモの眩い夜景に見送られ、闇の中にそろりそろりと私たちは消えていく。ナポリ着は明け方だ。
ナポリ(Napoli)

船内で朝食を済ませた。ヨーロッパに戻ってきたという気配を感じさせるナポリは古い歴史を持ちつつも近代的要素を持つ。ここにきたのは何度目だろう。シアターやナポリのランドマークともいうべきガレリア・ウンベルト(Galleria Umberto I)ショッピング・モールへは歩いていける。マクドナルドもある。
港の広場には男性の性器をアートにしたものがビルの5階ほどの高さで悠々と立ち誇っている。何が言いたいのか?古い映画によく使われたカフェや、女優ジュリア・ロバーツが映画でマルゲリータ・ピザを食べたレストランもあるが私は友達とバールに入り、店自慢のスイーツを食べながらちょっぴりナポリムードに浸る。

サン・フェルディナンド(San Ferdinando)から見える超大型クルーズ船は世界中からナポリに憧れてくるお客がいかに多いかを物語っていた。
サレルノ(Salerno)で合唱祭

5年前に引き続きトロントのCoro San Marco合唱団と合唱祭で歌うためサレルノに戻ってきた。ホテルはポピュラーなホリデー・イン。なぜか皆の顔に安堵の色が浮かんだ。近くにスーパーもあり、これまで団体用のセットメニューで不足気味だった野菜や果物を購入する。
ここを拠点に近隣の教会で5日間歌いまくるわけだ。今回の参加合唱団はイタリア(4)、スペイン(2)、エクアドル、イスラエル、カナダの9団体。5年前はロシアも入っていた。
なま暖かい合唱祭初日の夜、各団体は各々の国旗を掲げ鼓笛団のドラムに合わせて行進、オープニング会場へ向かう。途中、指定された場所でお国自慢の歌、『私たちはニューファンドランドの歌、“She’s Like the Swallow”』をご披露する。全ての合唱団が会場に揃った時、時計は夜9時を回っていた。
アマルフィ(Amalfi)

サレルノから25キロ先に年間500万人が訪れるという観光地中の観光地アマルフィがある。ランドマークでもあるアマルフィ大聖堂(Duomo di Amalfi)は9世紀に建設され7回の改修工事のたびに建築様式が変えられてきた。望遠レンズで撮って初めてわかる正面の聖人を描いたモザイクが素晴らしい。

歩きながら食べるシーフードの盛り合わせが安くて最高に美味しい。アマルフィに通じる崖沿いの道路は極狭で危険が満載。レンタカーを使うよりも慣れた地元のバスやタクシーを利用した方が安全だ。『帰れソレントへ』の歌で知られるソレントとアマルフィの間には断崖絶壁の集落の一つポジタノ(Positano)がある。健脚の町に違いない。

さてアマルフィ海岸で靴を脱ぎ膝まで浸かってみた。気持ちがいい。泳ぐ?観光客全員の目が紺青の光り輝く海に向けられていることを考えれば余程の心臓でないと泳げない。

石原牧子
オンタリオ州政府機関でITマネジャーを経て独立。テレビカメラマン、映像作家、コラムライターとして活動。代表作にColonel’s Daughter(CBC Radio)、Generations(OMNITV)、The Last Chapter(TVF グランプリ・最優秀賞受賞)、写真個展『偶然と必然の間』東京、『久遠に逢う』東京・熊本、雑誌ビッツ『サンドウイッチのなかみ』。3.11震災ドキュメント“『長面』きえた故郷”。PPOC認定会員、日本写真協会会員、AFP、ESL教師。www.makikoishiharaphotography.com
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