第66回「英語報道されない大阪万博未払い問題」|カエデの多言語はぐくみ通信

大阪・関西万博(以後大阪万博)が開幕して3か月。予想に反して来場者は好調な滑り出しを見せていましたが、その裏で深刻な「未払い問題」が浮上しています。
万博未払い問題とは
大阪万博は、各国がパビリオン建設を独自に施工会社と契約するという形が取られていました。しかし、パビリオンが完成しても、お金が、骨組み、電気工事、内装などを2次3次で請け負った日本の下請け業者に支払われず、たくさんの会社が倒産の危機に直面しています。
その中で、マルタ、ルーマニア、セルビア、ドイツの4か国からの元受け契約を担っている、「GLイベンツジャパン」というフランスの大きなイベント施工会社が、施工主からは支払いが済んでいるにもかかわらず、総額3億5千万円を下請け会社に払っていません。無理な工期にも関わらず、完成が遅れたなどを理由に、建て替え額のほうが大きいと言って逆請求までしています。
他にも、アンゴラ、中国、アメリカ、ネパールのパビリオンも、未払い、中抜き、経理担当者の持ち逃げなど、めちゃくちゃな状態です。総額にして6億円の支払いがされていない可能性があります。
大手は逃げ切った
大阪万博では、日本の大手建設会社のほとんどが海外パビリオン建設に関わっていません。工期が厳しすぎることで元受けを辞退したため、大阪府や博覧会協会は海外企業に元受けを呼びかけ、突貫工事の無理を通せる日本の中小企業が5次下請けまでを担いました。中には建築許可のない会社もあったそうです。
日本の建築業界は出来高払いのため、資材や人件費は支払いまでは下請け持ちです。体力のない中小企業は数千万円の未払いでただちに倒産の危機となり、すでにアメリカ館の2次請け会社が潰れ、今後も連鎖倒産が続きそうです。「学費が払えないので息子に大学をやめてもらった」業者もいます。
国家プロジェクトであり、有名企業が元受けなので不払いの心配はないはずだという安心感から、短い工期や追加工事、無理難題の内容変更にも対応して工事を終わらせました。そして、いざ開幕したら工事代が支払われません。もちろん主催者である博覧会協会にクレームしていますが、「民民のトラブルなので自分たちで解決を」と言うだけ。協力した大阪府も、「解決に向けて勧告する」という消極姿勢です。
GLイベンツという会社
未払い問題の中心にいる、フランス系イベント運営大手のGLイベンツとはどんな会社でしょうか。1978年に設立されたこの企業は、世界各国で大規模イベントの設営・運営を手がけており、オリンピックや博覧会の経験も豊富にあります。日本法人GLイベンツジャパンは2016年に設立されました。まさか、こんな大企業が高額の未払い問題を起こすとは信じられないですが、今も説明責任もなく電話も通じないそうです。
さらに驚くべきは、GLイベンツ社は、2026年開催予定の「愛知・名古屋万博」で630億円もの契約を勝ち取っていることです。このような大問題を起こしているにもかかわらず、愛知県は、「現時点では万博の件を理由に(GL側との)契約の見直しは考えていない」と説明しています。こんな会社と誰が仕事をしたいと思うでしょうか。
英語で報道されない理由は?
ここで注目すべきは、日本語メディアでは報道されているものの、英語メディアではほとんど報道されず、この重大な問題を海外の人が知らないという点です。「The Japan Times」「NHK WORLD」「Kyodo News」「Asahi Shimbun」「 Nikkei Asia」などの日本の主要英語メディアが、今回の「未払い問題」についてはほぼ沈黙を守っています。海外メディアの報道も皆無です。「Osaka Expo, Unpaid」のワードで検索しても、大手はThe Japan Timesがほんの数行書いているだけで、他は、こども向け英語メディアや日本のニュースを英訳しているマイナーなサイトが扱っているのみです。
国際的な万博であり海外企業がかかわっている問題なので、英語やフランス語で発信して責任追及すべき問題であるはずですし、海外の報道機関や投資家にとっても、今後の万博運営の信頼性に関わる重要な情報となるはずです。
では、なぜ報じられないのでしょうか。いくつかの理由が考えられます。一つは、「対外的に万博のイメージを損なうことを避けたい」という自主規制的な判断。他に、「英語編集部がこの問題を十分に取材や理解をしていない」ことによる単純な認識不足や行動の遅さ。最も根深い理由として、「日本の大手メディアが構造的に政府の立場を守る傾向にある」ことも否定できません。
また外圧が必要なのか
日本のメディアが長らく見て見ぬふりをしていたジャニーズ問題が、BBCによって世界中が知るところとなり、大きく状況が変わったように、日本は外圧がないと変われないと陰口を叩かれています。伊藤詩織さんやカウアン・オカモトさんも、日本のメディアが信用できないので、外国特派員協会で記者会見を開きました。近年は、「黙殺されたくなければ外国特派員協会で記者会見」が根付いてきました。
万博未払い問題の解決に向けて、「被害者の会」が設立されて国に働き掛けを始めました。それと同時に、海外メディアにも情報を提供して、この問題を世界に知らせることも、何らかの解決に繋がるのではないでしょうか。
https://www.sankei.com/article/20250711-CHKJHPVL7JKITJGFCYWJAYRWHU/
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