心肺蘇生|カナダと日本の医療制度の違い
セントマイケル病院の医師、ボビー・ヤナガワと川口保彦です。今回は日常生活でも遭遇するかもしれない心肺蘇生(CPR; Cardiopulmonary Resuscitation)について簡単に説明したいと思います。
モールやお店で突然近くにいた人が倒れた、でも何をしていいかわからなかった、ということは今までなかったでしょうか?体調の急変や心停止はいつどこで起きるか分かりません。そんな緊急事態に備え、心肺蘇生法(CPR)を正しく実践することは、命を救う鍵です。アメリカ心臓協会(AHA)は2020年に心肺蘇生および救命処置のガイドラインを更新し、一般市民が行うべき最新の手順を明確に示しています。本記事では、そのポイントを簡単にまとめています。

心肺蘇生の基本ステップ
- 安全確認
まず、自分と周囲の安全を確認します。危険がないことを確認したら、倒れている人に近づきます。 - 反応を確認
肩を軽く叩きながら大声で呼びかけます。反応がなければ心停止の可能性があります。 - 救急通報とAEDの手配
すぐに911番通報し、周囲の人にAED(自動体外式除細動器)を持ってくるよう依頼します。 - 胸骨圧迫(ハンズオンリーCPR)
胸の中央に手の付け根を置き、もう片方の手を重ねます。腕をまっすぐに伸ばし、体重を使って1分間に100~120回のリズムで強く押します(約5cmの深さ)。救急隊が到着するか、AEDが準備されるまで続けます。
日本のドラマなどでは人工呼吸をする場面もよく見るかもしれませんが、現実的には自分の身を守ることも考え、人工呼吸はしない方が良いでしょう。学会も胸骨圧迫のみの「ハンズオンリー心肺蘇生」を推奨しています。
心停止の際、即座にCPRを開始することで生存率が2~3倍に向上します。特にAEDと組み合わせることで、救命率がさらに高まることが科学的に証明されています。 現在、オンラインでも受講可能な安価なコースが多数開催されています。インターネットで「CPR Course」などと検索すると簡単にヒットします。実際に体験することで、より確実なスキルを身に付けておくと、いざという時きっと役に立つでしょう。

ボビー・ヤナガワ
トロント大学セント・マイケルズ病院心臓外科チーフ・プログラムディレクター。トロント大学医学部卒、トロント大学心臓外科、米国バージニア州イノバ・フェアファックス病院、ニューヨーク州マウントサイナイ病院でのトレーニングを経て現職。






