震災から5年、孤独死は毎年増加している | 東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第49回】

東日本大震災が発災し、その直後はほとんどの被災した方々は避難所や避難施設で集団生活を送ってきました。

避難所生活は共同生活ですので、本当に大変な面も多く、今回の熊本大震災でも他人に迷惑をかけたくない、ということで、子供連れの方や、高齢者を抱える家族の方々が避難所には入らずに車での避難所生活を送っています。

東日本大震災の津波被害で被災した方々は、津波がまた来る可能性もあり、さらには沿岸部の平地面積が少ないこともあり、車での避難生活はあまりなかったようです。

そんな、避難所生活は不便との戦いで、皆さん早く仮設住宅の建設を願い、仮設住宅へと移動していきました。

仮設住宅は、本来ならば、従来あった土地に住んでいたコミュニティーを尊重して、そのコミュニティー単位で入居できればその後の運営も非常に円滑だったのですが、どうしても仮設住宅を建設するスピードの差や、一気にたくさんの仮設住宅がつくれないこともあり、元のコミュニティーは基本的に尊重せず、くじ引きで入居が決まる例が多かったのです。

仮設住宅の様子

仮設住宅の様子

そうなると、仮設住宅に入居しても、周りは知らない人ばかり、という状況があり、仮設住宅に引きこもる方々も多くいらっしゃったそうです。

そういった引きこもってしまう人たちの多くは高齢者で、新たにコミュニティーを創設する意欲もなく、悪い方向へ進んでいってしまいます。

仮設住宅の中でも自治体やグループをつくる動きもたくさんありましたが、すべての方々に目配せをするのは不可能で、そうなると、高齢者でコミュニティー参加ができない人に待っているのは、阪神大震災でも問題になった「孤独死」になります。

東日本大震災以降、大きな被害のあった岩手県、宮城県、福島県の3県で仮設住宅での孤独死を調べたデータが公表されました。

震災から5年を経過して、孤独死は3県で188人にのぼり、これは毎年増加する傾向にあると発表されました。

ほとんどが高齢の独居者で、年々増えている理由としては、仮設住宅から震災復興住宅や新しい家に毎年出ていく人が増えて、仮設住宅の空室が目立ち、近隣の目がさらに届きにくくなることを理由にあげています。

仮設はいつまでたっても仮設です。しかし、高齢者は新しく家を建てることが金銭的にも、そして意欲的にも難しく、仮設住宅から出ていくスピードも遅いため、このような悲劇が生まれてきます。

いまだに3県では仮設住宅に暮らす人が5万人近くいるそうです。

孤独死は、まわりの目があれば防ぐことが出来ます。仮設に住んでいる人たちは、自分たちの生活で精いっぱいですから、独居のお年寄りに寄り添うボランティアはこれからさらにたくさん必要になってくると思います。

熊本大震災でもこれから同じ問題が出てくると予想されますので、願わくば、そういった方々を出来るだけ無くせるように東北の例に学んでもらえればありがたいです。


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本文:南部美人 五代目蔵元
東京農業大学客員教授

久慈 浩介