日本茶と円相|お茶コラム
早いもので、今月でこのコラムも一周年を迎えます。TORJAさんに掲載していただき、光栄に思っております。ありがたいことにコラムのお陰か、イベントなどで、声をかけられることが増えました。古い茶葉を使って、DIYほうじ茶をしてみました。とか、氷出しをしてみたら甘くて美味しかった。などなど、読んでいただいていることはもちろん、実際に実践して下さったこと、嬉しく思いました。
10月1日と10月31日は「日本茶の日」として、日本記念日協会に正式に登録されている。と第一回でご紹介しましたが、私はこの時期になると、今ではライフワークとなっている「日本茶祭り」の準備で忙しくなります。「日本茶祭り」は、お茶の文化と魅力をカナダから発信する「お茶の祭典」です。毎年11月の第一日曜、文化の日を意識して開催されます。会場はトロント日系文化会館です。
今年は第三回。約50のベンダーさんが集い、お茶関連ワークショップをはじめ、手揉みや和菓子の実演、書道や茶花など、文化を体験できます。このイベントのシンボルでもある、「日本茶」と「◯=円相」は、カナダを拠点に活躍されている書道家の前田典子先生が手掛けて下さいました。「円相(えんそう)」は、一筆でかかれた円です。宇宙全体を象徴し、円が持つ、終わりも始まりもない。という事実から、執着のない、心の開放を表しているといいます。
茶道においても、「円相」はよく掛け軸に使われます。「円」の形そのものが、欠けることも、余すこともなく、悟りや真理を象徴的に表したもの。と捉えられています。解釈は人それぞれですが、私自身は、「円相」を眺めると、そこには終わることない、気が遠くなるほどの修行の道を感じます。それは決してネガティブなものではなく、終わりがないからこそ、日々のお稽古を謙虚な気持ちで取り組みたいという気持ちになります。また、「円相」の◯の形状そのものが、不完全で未熟な自分を許容してくれているような気持ちにさせてもらえるのです。等身大の自分を受け入れ、精進しよう。と、前向きな気持ちにさせてくれるのです。
前田先生はオンラインで書道のご指導もされています。私は門下生入りしてから早5年が立ちました。禅語はもちろんのこと、言葉のもつ意味、その歴史的背景など、先生の授業は人生のエッセンスとなる情報がたくさんちりばめられており、毎回心が豊かになる思いでいます。
今年もイベント開催が来月と迫り、日本茶祭りのポスターをあちらこちらで見かけるかと思いますが、その際には是非、美しい「日本茶」と、多くの思いが詰まった「円相」を愛でていただけたらと思います。

吉田桃代
Tea&Herbal Association Canada公認ティーソムリエ日本茶アドバイザー
日本茶のオンラインストア「Momo Tea」とお茶団体「Nihoncha Canada」を運営。Momo Teaは2015年からトロントのお茶の祭典、Tea Festivalや、日系文化会館の季節のイベントを中心に出店。2023から日本茶の良さをカナダの人に広めたいという想いを込めて、日本茶と日本の文化に特化した「日本茶祭り」を主催。毎年11月第一日曜開催予定。






