日本人が日本人として米を当たり前に食べられない時代。|東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第158回】

今年の日本はとてつもない暑さでした。毎年「暑い」「暑い」と言っていますが、過去最高、みたいな気温が続きます。やっと日本も10月になり朝晩は少し過ごしやすくなりましたが、いまだに東京などは日中クーラーが必要です。
そんな日本ですが、令和の米騒動といわれる、米不足から来る値段の高騰が大問題になっています。スーパーでは今までのほぼ2倍に価格が高騰。レストランなどではライスの値段があがり、おかわりサービスなどは軒並み停止。さらに今年、作付けは増やしたのですが、夏の高温が影響して、玄米から精米したら歩留まりが悪い可能性も出てきました。夏の暑さで水が不足して、日本中米に対する水不足問題が噴出しました。
私の住む岩手県でも、ダムの貯水率がゼロになった地区もあります。人間の飲み水も心配ですが、飲み水が優先されるので、農業用水の方は足りないままで、米は水不足の1年でした。これは収穫に大きな影響を与えます。どんなに面積を広げて米の栽培を増やしても、出来る割合が減ってしまっては意味がありません。
日本は秋になってもまだまだ新米の価格は高止まりしており、いつ米の価格が落ち着くのかわかりません。この米騒動もひとつの大きな災害と感じています。アメリカやカナダなどに行ってみると売っている米の価格が以前は安くないな、と感じていましたが、今では日本よりもかなり安く感じます。
米は日本人の主食で、とても大事なものです。しかし、今の日本人は主食の米をまともに買えません。私の家業の酒造りでも、この米騒動は大きな影響を与えており、原料米の価格が一気に2年で2倍以上になりました。こうなると、通常の価格では酒は売れません。
さらに困ったことに、酒をつくる米は専用品種で、食べる米の方の価格があがり、軒並み酒米を栽培する農家が、食米にシフトしたことで、酒米自体が圧倒的な不足になっています。
日本はまさにそういった大変な状況です。震災とか台風とか自然災害も大きな苦悩ですが、まさかこのような米騒動が起きるなんて想像もつきませんでした。日本ではパスタの売り上げが爆上がりしているそうです。日本人が日本人として米を当たり前に食べられない時代。早く何とか解決して、日常に戻りたいものです。

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現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。南部美人 / http://www.nanbubijin.co.jp
本文:南部美人 五代目蔵元 東京農業大学客員教授













