【第十二回】帰化申請の「もやッ」と感|ACROSEED|知って安心!海外と日本をつなぐ法務サポート

帰化申請ですが、「もやッ」としている感じであることが一番の特徴です。何を言いたいかというと、許可基準や法務局の判断がいまいちはっきりしない。
もちろん公表もされていませんし、何回も申請していると「何となくこっちかな?」と思える部分はあるのですが、「法的な根拠は何?」と言われると「う…ん。」という感じです。
あいまいながら法務局が好む傾向や回答内容などはわかるのですが、すべてにおいて〝専門家としての勘〟に近い感じです。
この「もやッ」と勘ですが、こんな感じです。以前のお客様で帰化申請のために法務局に一緒に行った時、待ち合わせの時間になっても現れない。携帯も通じない、どうなったのかと思っていたら40分ほど遅れて登場…車で法務局に来る途中に交通違反で捕まっていた…しかも結構の速度超過。
「何やってるんです?これじゃ絶対に帰化申請なんて無理じゃないですか?」と言いつつも、せっかく来たのだから「担当者と話だけしよう」となり、ダメもとで説明すると…
「わかりました。どうなるかわかりませんが、とりあえず申請だけしていってください」、(えっ?今、違反したてのホヤホヤだって伝えましたよね?)、「いいんですか?」、「だって、そのために来たんでしょ?」。
そうだけど…帰化申請って事前に相談があってその時点で大体、許可かダメかわかります。仮に相談時に「今回のような違反があります」って伝えたら、100%(また今度ね。)と言われる内容です。
逆に言うと、事前相談が通ればよほどの大ごとが無ければ許可が出るケースが大半です。(「申請してね」ってことは、許可が出るってことか?)頭の中では疑問が渦巻いていますが、言われるままに申請して帰ることにしました。
その10か月後…法務局からご本人に連絡が入り「帰化申請が許可になりました!」とのこと。本当に信じられませんでした。(今まで入念に調べて申請していた苦労って何なの?)と嬉しい半分、やるせない気分になったことを覚えています。
また、何回も申請すれば…って言っても、一般の方で一生に5回も10回も帰化申請する人なんてまずいなくて、仕事として扱ってる専門家以外にわからない感覚だと思います。でも、お客様の話を聞いていると「何となくこの人、取れそうだな…」とか、「危なそうだから丁寧に説明しておこうかな…」なんて考えが頭をよぎります。
もちろん、書類の記載方法や必ず注意される点などはわかるのですが、帰化が許可になる判定基準みたいなものが不明。これに拍車をかけているのが申請する場所によって明らかに対応が違うことです。
行政書士同士でお酒を飲んでいると、「東京法務局は親切だけど、地方の〇〇法務局はね~」という声もちらほら聞こえます。
なぜか全員共通するのは、北に行けば行くほど審査が厳しくなることです。東京から埼玉、栃木、群馬と北上していって…「宮城(厳しい!)、青森(もっときつい!)、札幌(やりたくない…)」という感想が全員一致します。
逆に西に進むと「名古屋(親切!)、大阪(すごい人情ある…)、広島(めっちゃ優しい)、福岡(明るくてポジティブ!)」といった感じです。寒くなると人間って人に厳しくなるのでしょうか?謎ですがこの傾向は間違いないと思います。
このように帰化申請は、法律の条文だけを読めば判断できるものではなく、実際の審査では生活状況や人物評価など、さまざまな事情が総合的に見られています。そのため、制度としての要件は存在するものの、個々の事情によって判断が変わることもあり、実務を扱う中で「勘」のように感じられる部分が生まれるのかもしれません。
だからこそ帰化申請では、形式的な条件だけでなく、日頃の生活状況や社会との関わり方を含めて丁寧に準備を進めることが大切になります。
制度の枠組みを理解しつつ、一人ひとりの状況に合わせて慎重に進めていくことが、帰化申請に向き合ううえで最も重要なポイントといえるでしょう。




