東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い 第39回
5月に行われ盛大なにぎわいをみせた日本酒フェスティバル、Kampai Toronto vol.4。
このイベントに参加した岩手県、南部美人の蔵は3.11東日本大震災で被災した蔵のひとつだ。南部美人の5代目である久慈氏は震災直後から日本酒を通じて地域復興に様々な取り組みを行ってきた。TORJAでは久慈氏が体験したこと、復興に向けての取り組みなどを寄稿してもらった。

北限のゆず研究会の活動がスタートし、北限のゆずを楽しむ会も開催されました。まずは北限のゆずをお酒という商品にしてお客様に届けることがはじまりました。しかし、北限のゆずを陸前高田の新たな名産品に育て、産業として発展させていくには、お酒だけでは物足りません。幸いにも「ゆず」という商品の価値は、この日本ではとても高く、関西や四国の一大生産地では様々な「ゆず」関連の商品があるという事で、先進地視察へ北限のゆず研究会のメンバーが高知へと旅立ちました。
ゆずの一大生産地である四国地方。その栽培方法や管理方法はもちろん勉強になりましたが、それ以上に、ゆず関連商品の充実に驚きました。食品や飲料、お酒はもちろんですが、コスメ商品やお風呂関係の商品など、口に入るもの以外にも様々なゆず関連商品がありました。先進地視察を終え、北限のゆず研究会では、早速北限のゆずを使った新たな新商品開発の検討を開始しました。ゆず自体は日本人からとても愛される香り、味わいであり、その香りのほぼすべてが「皮」から出ております。様々なお菓子や食べものも、このゆずの「皮」の部分を上手に使って商品としておりました。
当社で製造している北限のゆず酒は、ゆずをしぼって、その果汁をメインに使います。皮を含めた果汁を取ってしまった残りの実の部分は今まで全て廃棄しておりました。前からこれはとてももったいない、という話も出ており、私も何か利用できないか検討しておりましたが、北限のゆず研究会では、岩手が誇る食のコーディネーターの小野寺惠先生の力を借りて、このしぼった後の実の皮を使って、新たな北限のゆずのお菓子を検討しました。
ゆずの香りを十分に持ち、製造を知的障害者施設の「あすなろホーム」で行う事から、あまり難しくない製造方法でつくることが出来るお菓子として、クッキーやマーマレード、そして羊羹が開発されました。どれも北限のゆずの香りをたっぷり含んだお菓子で、あすなろホームさんでもしっかりと生産できることで、とても上手につくることが出来ました。その北限のゆずを使ったお菓子のお披露目会も行われ、多くの方々に新しい北限のゆずの価値を知っていただく事が出来ました。
その後も、第2回、第3回と北限のゆずを楽しむ会は毎年行われ、昨年からはなんと、盛岡の地ビール会社「ベアレンビール」さんは、北限のゆずの皮を使った北限のゆずビールを発表してくれて、今ではとてもたくさんの北限のゆずの商品が出来上がりました。まだまだ復興の道半ばですが、このように様々な方々の力を借りて、北限のゆずが少しずつ陸前高田市の、そして岩手、東北の復興の旗手として動き始めています。
オンタリオ取扱い代理店:
Ozawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。
南部美人
http://www.nanbubijin.co.jp
本文:南部美人 五代目蔵元東京農業大学客員教授
久慈 浩介













