「世界中に日本食の文化をマーケティングしていく」チャンネル登録者数200万人超えフロリダ在住人気YouTuber寺田弘行さん|トロントの魚屋さんTaro’s Fishで編集長のちょっと立ち話

【寺田弘行さんプロフィール】
フロリダ在住の人気料理人YouTuber・寺田弘行さん。高知県の調理師学校を卒業後、マイアミに拠点を置き日本料理のシェフとして働くかたわら、YouTubeに投稿する料理動画で人気を博した。現在、YouTubeのチャンネル登録者数は200万人を超え、魚を捌く動画、お寿司づくりや創作料理の動画投稿を中心に活動する。シェフとしての活動にとどまらず日本食の文化を広く発信し、世界を舞台に活躍している。
ヒロさんのユーチューブチャンネルはこちら
Hiroyuki Terada – Diaries of a Master Sushi Chef
https://www.youtube.com/c/HiroyukiTeradaDiariesofaMasterSushiChef/videos
トロントで一番人気を誇る魚屋さんTaro’s Fishを営む太郎さんの友人でもある寺田さん。今回Taro’s Fishに視察に来られた寺田さんに、YouTuberとしての活動や日本食文化の将来についてインタビューした。そこでは、世界中の人とのつながりのもと、日本食の文化を広めていきたいという寺田さんの情熱に出会った。
YouTubeはずっと取り組んできたことの延長だった最終的には「自分が情熱を注げるものは何か」
―どうしてYouTubeを始められたのですか?
当初YouTubeを始めるつもりはなかったです。2011年に働いていたお店では、僕がお寿司を作る場所がキッチンの端の誰にも見えないところでした。それでもメニューには僕のプロフィールが掲載されているので、「本当にこの人が働いているの?」と聞くお客さんがいたんです。
それなら、作っているところをお客さんに実際に見てもらおうということで、YouTubeに動画をあげたところがスタートです。僕からすれば、YouTubeに投稿する内容は今まで取り組んできたことの延長でした。だからこそ、よくファンの方から「画面の中と実際の印象が一緒」という感想をいただきます。
―YouTubeの企画はどのように考えられますか?
視聴数が増えるにつれ内容に変化をつけていかないといけないという意識が生まれ、様々な動画を投稿するようになりました。それでも、最終的には自分が何を一番やりたいのかを大事にしています。
「この動画を投稿すれば視聴数が伸びる」という考え方で無理をするのはあまり好きではありません。見てもらいたいものを投稿したいというのが正直なところです。しかし、生活のためには収入が必要であるという意見も参考にしながら、動画を作っています。
YouTubeの動画が、テレビの出演にもつながりました。僕からしたら、野菜を切るときにいちいち手元は見ないですが、それがこちらの人たちには新鮮に映ったみたいです。目隠しをして包丁を使う動画がテレビ局の方の目に留まり連絡をいただいて、目隠しをしてニンジンを何枚切れるかというギネス記録への挑戦につながりました。

―YouTuberになりたい日本人の若者へアドバイスはありますか?
とにかく、自分の興味のあることや勉強したいこと、情熱を注げることに取り組むことです。有名になりたいという思いがあっても、無理していれば長続きしないしないと思います。
例えば、僕はずっと料理人として日本食一本でやってきました。イタリアンレストランで働いてみるという企画で視聴数は伸びるかもしれませんが、結局僕はそれをずっと続けることはできません。視聴数のために取り組むというよりも、自分の好きなことやパッションを大切にするべきだと思います。

同郷の友人である太郎さんの存在
―太郎さんの最初の印象はどうでしたか?
すごくいい方という印象でした。仕事には厳しいけれど、話しやすい人です。締めるところは締めて、でも優しい面倒見のいい方です。
―太郎さんとはどのように知り合いになられたのですか?
僕と太郎さんは高知県の同じ調理師学校を卒業しているんです。僕が入学したときには太郎さんはカナダにいたんですが、新入生向けのパンフレットに太郎さんが出られていました。その写真を見て「カナダにこういう方がいるんだ」とずっと思っていました。

1991年にアメリカに来てからもずっと太郎さんのことは頭にありましたが、アメリカとカナダでなかなか交流するきっかけはありませんでした。ソーシャルメディアが流行し始めてから、インスタグラムで個人的に太郎さんからDMを頂いたんです。そのあと、太郎さんにマイアミに来ていただいて遊びにいきました。今回コロナのパンデミックが落ち着いて、やっとこうして太郎さんのお店に来ることが出来ました。
―実際の太郎さんのお店の印象はどうですか?
こういう風に魚を買えるお店がマイアミにあればいいなと思います。僕がレストランで働いているときは食材が既にあるのでそれを使えばよかったんですが、動画のために少量用意するには自分で仕入れなければいけない。そして、寿司を作る動画を投稿する際に、視聴者が見ているのは新鮮な魚を「どこで買えるのか」なんです。そこで、最近僕はカリフォルニアの会社で瞬間冷凍した魚を売る会社とスポンサー契約をしました。事業的な広がりがありますね。
ビジネスで大切なのは「人とのつながり」自分一人で全て頑張ることはできない
―ビジネスを成功させる、続けていく秘訣は何ですか?
人とのつながりです。一人で全てのことはできません。自分のできるところは自分で取り組み、自分のできないところは専門の人に任せればいいと思います。
僕は、ビジネスパートナーと2008年頃に出会いました。僕の働いていた店の真向かいで、彼がファストフード店を開いていたんです。その後、別のお店を一緒にやろうということになりました。
現在、YouTubeの動画の編集や構成は彼に任せて、僕は彼のアイディアをできるだけ形にする役割です。チャンネルがブレイクするきっかけになったビックマックで寿司をつくる動画も、彼が撮影するその日に持ってきたアイディアでした。
自分ひとりで頑張らず、それぞれ得意なところと得意じゃないところで役割分担をします。そのうえで相手に任せたところにはできる限り口出しをしません。自分のイメージしているところを共有するために話し合いはしますが、全部ああしろこうしろと指図はせず、お互い尊重し合わなければなりません。
日本食を世界に広めるためのマーケティングの必要性海外の人に日本の文化を柔軟に発信していく
―日本食、日本酒がさらに海外に広まっていくために必要なことは何だと思いますか?
まずは、海外の人に日本食の文化やバックグラウンドに興味を持ってもらうことです。「美味しい」と思ってもらうだけではなく、日本食や日本酒に興味を持ってもらうマーケティングが必要です。それぞれの日本食レストランで日本酒のアピールをしていかなければなりません。

海外ではJAPAN EXPOなど日本文化を紹介するイベントが開催されており、すでにお酒の試飲等の機会はあると思います。そのうえで、ソーシャルメディアの時代ですから、お酒好きのインフルエンサーに拡散してもらったり、映画館で何回もコマーシャルを流したりすることが必要だと思います。
例えば、日本では赤ワインといえばフランスのイメージがありますが、それはまさしくマーケティングの結果だと思います。日本のウイスキーも爆発的なブームがありました。日本食や日本酒もそのような大きなニュースになることが必要です。ただし、それにはクオリティが伴っていないといけない。お魚にしてもお寿司にしても、美味しいものを適切にマーケティングすることが大事だと思います。
将来的には、日本で働きたい熱心な海外の人を誘致し、彼らが安全に働くことのできるようなシステムを作りたい
僕はNPO団体を興して、日本食や日本の文化に興味があり日本に行きたいけれど決断に至らない人を集めて、実際に日本に連れていく活動も行なっています。お酒造りやマグロの養殖場など、実際に日本食文化を体験してもらい、そして広めてもらっています。
日本も人口がどんどん減りますから、米の栽培を行ってみたい人などを積極的に呼び込み、管理された寮や給食を提供できればいいと思います。その後、彼らはそれぞれの国に戻るかもしれませんが、長期的な目線で考えたときに今度は彼らが日本文化の発信者になります。
そのためには、日本も柔軟性を持ちオープンにならなければいけません。日本人は、日本の文化が外国流に発信されることに対して否定的な傾向があります。しかし、日本では日本人が好むフランス料理がありますよね。
例えば、熱心に日本食について学んでくれた外国人がレストランを開く時には、日本人が彼らをサポートすることが必要だと思います。最終的には、シェフとしてお客さんの「美味しい」という顔を見られるのが一番です。

マグロの解体ショーをツアーで行い世界中をマーケティングしていく。目先の利益に飛びつかず、協力することがまた次の輪に繋がっていく
カリフォルニアの調理師学校で校長をされているアンディーさんという方が、ツナのカッティングツアーで世界中回ろう、世界中をマーケティングしようと言っているんです。そのツアーで、マグロのカッティングを行うだけではなく、地元の日本レストランや業者に入ってもらって売りたいものを売ってもらう。そうすればお互いに潤いますよね。
僕らのYouTubeで行うマーケティングだけでは十分ではなくて、プロフェッショナルな人に別口でイベントを広めてもらう。「俺たちでやる!」だけでは無理がありますから、プロに拡散してもらうことで結果的にはどちらにも有利に働きます。

目先の利益に飛びつかず、協力してもらうことでまた次の輪に繋がります。さらに、なんでもかんでもボランティアで行うのではなく、協力してもらえる人には報酬を支払うことで長続きするビジネスになると思います。
―寺田さんはアメリカンドリームをつかまれたと思いますか?
ある意味ではそうかもしれません。アメリカでは、とんちんかんなビジネスプランを話したとしても認めてもらえる確率が高い、そしてたとえ認めてもらえなくても馬鹿にはされません。年相応に、などといったことも求められません。アメリカは、ビジネスパートナーをしっかり作って、という人に投資してもらえる国だと思います。













