太郎さんが仕込む、骨だし仕立ての「サーモンチャウダー」|トロントの魚屋さんTaro’s Fishで編集長のちょっと立ち話|#トロントグルメ部|食の編集部
いつものように裏口から顔を出すと、今日は刺身の香りではなく、やわらかな湯気が迎えてくれた。
「昔はね、クラムチャウダーとか、よく作ってたんだよ」
そう言いながら太郎さんがかき混ぜていたのは、白く穏やかなスープ。今月号で紹介するのは、太郎さんお手製の「サーモンチャウダー」だ。
ただのクリームスープではない。旨みの土台に“サーモンの骨だし”を使っているのが魚屋さんらしい!
主役はサーモン
でも一番大事なのは“骨”
「まずは骨だしだね。ここが味の芯になる」
使うのはサーモンの中骨やアラ。熱湯をさっとかけて霜降りにし、玉ねぎやセロリ、ローリエと一緒に水から静かに火にかける。沸騰直前で止め、弱火で30〜40分。
「絶対にグラグラさせない。白濁させない。澄んだ優しいだしが理想」
丁寧にアクを取り、漉しただしは驚くほど澄んでいる。魚臭さはなく、軽やかで、どこか上品だ。そしてチャウダーの深みを静かに支えている。
フレンチシェフ直伝のベシャメルソース
そしてもう一つの要が、ベシャメルソースだ。
「溶かしたバターに小麦粉を入れて炒めて、そこに牛乳を少しずつ。塩コショウで味を整える。フランス料理のソースだね」
ポイントは玉ねぎを使うことだという。


「玉ねぎをちゃんと入れると、なじみがよくなる。ダマになりにくいし、甘さと風味も出る」これは友人でフレンチビストロ「Maison T」のオーナーシェフ、田丸さんから昔教えてもらったコツだと言う。
丁寧に仕込んだベシャメルソースに、ベーコン、セロリ、じゃがいもを入れ、そこへ骨だしを注ぎ、静かに煮る。全体がなじんできたら、牛乳、生クリームを加える。
「ベーコンからも滲み出た脂も旨味たっぷりでいい仕事をしてくれるんだよね。サーモンは最後。グラグラさせないのがポイント」
スプーンを入れると、ごろりとしたサーモン。骨だしの旨みとミルクの軽さ、その中で身の甘みが立つ。仕上げにディルやチャイブを少し、あるいはレモン皮をほんのわずか削ってもいいという。
魚屋さんだからできるスペシャルやお惣菜
Taro’s Fishでは、こうしたランチスペシャルがふと登場する。店内のキッチンで日々魚と向き合い、骨も端材も見ているからこそ生まれる発想だ。
最近は店頭に並ぶお惣菜の種類も増えている。焼き物、煮物、揚げ物、そしてマリネなど。ショーケースをのぞいて、「今日は何がある?」とつい立ち止まる人も多い。


「創業当時、J-Townに店を出したばかりの頃はね、よく惣菜も作ってたんだよ」
刺身や寿司はもちろん店の軸だ。けれど、それだけではない。火を入れた魚のうまさ、だしにしたときの奥行き、家庭でそのまま食卓に出せる安心感。常に「魚をもっと身近に食べてもらうにはどうしたらいいか」を思って今日も元気に営業中だ。

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