手揉み茶の魅力|お茶コラム
11月2日に開催された第三回 日本茶祭り、今年も日本から日本一に輝いた手揉み茶職人の比留間嘉章さんが一日を通して、手揉み茶のデモンストレーションを披露して下さいました。私と比留間さんの出会いは、2023年に開催された第一回日本茶祭りでした。お茶の普及活動の一貫として、第一回、二回と、日本茶カナダをサポートし、盛りあげて下さったのが、お茶のプロフェッショナル団体、日本茶業中央会/日本茶輸出組合の皆さまでした。比留間さんは組合員さんのお一人で、「日本茶祭り、今年も開催されます」と夏頃に報告したところ、「予定はあけておきましたよ」と。嬉しいご返答が。組合員の皆さまの来加は残念ながら今年は叶わなかったのですが、単独でカナダに来て、手揉み茶のデモをして下さるつもりでいて下さったこと、どれだけ嬉しく励みになったことか。
手揉み茶のデモンストレーションをこれまで見たことのない人にとっては、目の前で茶葉がゆっくりと、時間をかけて丁寧に美しい針状の茶葉になっていく様子を眺めるのは貴重な体験だったことかと思います。
デモンストレーションで使う茶葉は、蒸したあと、前半の下揉み後に冷凍した状態でクーラーボックスでカナダまで運ばれます。元の生葉は、1.5 キロですが、下揉み後はなんとたったの900グラムだそうです。下揉みにかかる時間は2時間弱、カナダでの仕上げ揉みは2時間から2時間半くらい、乾燥に2時間ほどかかるそうです(工程に関して詳細はTORJA 2024年10月号を参照下さい)。
比留間さんへ伺ったところ、機械でもかかる時間は同程度だそうですが、一度にたくさんの量を加工できるのが「大きな違い」だそうです。手揉みでは一度に1.5キロの加工が限度なのに対し、機械は小さなサイズでも35キロ。大型のもので240キロもの加工が可能とのこと。大型工場では時間あたり数千キロという規模のところもあるとのこと、手揉みと比較すると一万倍以上の能力があるということになります。
生産性を考慮すると、商品として手揉み茶が市場に出回っていないのはビジネスとして、採算がとれない現状があるようです。それでも、全ての分野において機械化が進む中、あえて、昔ながらの伝統と技術をとりいれ、丁寧に創りあげられた手揉み茶は「日本茶の魅力の真髄」ともいえるような気がします。比留間さん曰く、手揉み茶は朝イチに飲んでほしいというコメント。その日食事をいれていない状態の口内に手もみ茶をいただくことで、より、ダイレクトに美味しさがわかる。とのことでした。手間暇かけた手揉み茶を、最高の状態で飲んでほしいという、職人さんの想いが伝わってきますね。今年見逃した方、来年の日本茶祭りはくれぐれもお見逃しなく!

吉田桃代
Tea&Herbal Association Canada公認ティーソムリエ日本茶アドバイザー
日本茶のオンラインストア「Momo Tea」とお茶団体「Nihoncha Canada」を運営。Momo Teaは2015年からトロントのお茶の祭典、Tea Festivalや、日系文化会館の季節のイベントを中心に出店。2023から日本茶の良さをカナダの人に広めたいという想いを込めて、日本茶と日本の文化に特化した「日本茶祭り」を主催。毎年11月第一日曜開催予定。






