恵方巻と煎茶|お茶コラム

2月の主な行事といえば「節分の日」ですが、「季節を分ける日」という意味があるそうです。各季節のはじまり、立春、立夏、立秋、立冬のうち、春のはじまりである「立春」。その前日が「節分」です。
皆さんお馴染みの節分行事、「豆まき」は、旧暦のお正月である立春の前日に邪気を払うことを目的として、「鬼は外、福は内」と唱えるのです。小さい頃から馴染がある年間行事の背景を知るのは面白いですね。
最近は豆まきに加えて、節分には日本全国的に「恵方巻」と呼ばれる太巻き寿司を食べる習慣があるといえるでしょう。恵方巻は、その年の恵方(縁起の良い方角)」を向いて、願い事をしながら一本を丸ごと食べます。2026年の今年はの恵方は、南南東だそうです。
恵方巻をいただくことは、厄除けや商売繁盛、幸運を願う縁起のいい風習です。七福神にちなみ7種類の具材を使うのが一般的で、切り分けずに一本丸ごと食べることで「縁を切らない」「福を逃さない」のだそうです。途中でしゃべってもいけないそうなので、集中して一本食べきって下さい。
恵方巻の起源は諸説あるようですが、大阪発祥説が有力で、江戸時代末期に商売繁盛を願う商人たちの間で始まったとされています。
一部の地域での風習が全国展開されたのは、やはり、セブンイレブンが節分に太巻きを「恵方巻」という名前をつけて売り出したのがきっかけといえるでしょう。80年代後半のことだったといいます。私自身もその当時、コマーシャルなどで宣伝されていたのをうっすら覚えています。「恵方巻」は関東に住む私には当時は耳慣れない言葉でした。その後コンビニだけではく、スーパーやデパートでも恵方巻が販売されるようになり、今では全国に広まった風習といえるのではないでしょうか。
私は巻き寿司にはいつも煎茶を濃いめにいれてペアリングするのが好きです。煎茶は、低温でいれると、カテキンがおさえられ、旨味成分のつよいアミノ酸が多く抽出され、まろやかな味わいになります。逆に高温でいれると、苦味と渋み成分の強いカテキンが多く抽出されます。カテキンはポリフェノールの一種で、抗酸化作用があります。殺菌作用も期待できますので、生のお刺身と煎茶を一緒にいただくことは理にかなっているのです。そんなわけで、お寿司といただくときの煎茶は、90度以上の高温でいれるのがお勧めです。通常は良質の煎茶であれば、70~80度のお湯でいれるのが一般的といえるでしょう。高温でいれる煎茶と低温でいれる煎茶の味の違いは大きく異なり、繊細な性質をもつ、日本茶だからこその楽しみ方だと思います。皆さんも是非お手持ちの煎茶で体験してみて下さい。

吉田桃代
Tea&Herbal Association Canada公認ティーソムリエ日本茶アドバイザー
日本茶のオンラインストア「Momo Tea」とお茶団体「Nihoncha Canada」を運営。Momo Teaは2015年からトロントのお茶の祭典、Tea Festivalや、日系文化会館の季節のイベントを中心に出店。2023から日本茶の良さをカナダの人に広めたいという想いを込めて、日本茶と日本の文化に特化した「日本茶祭り」を主催。毎年11月第一日曜開催予定。




