「2024年1月1日、夕方。能登半島沖地震発災」|東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第139回】
日本は元日の穏やかな空気が一瞬で吹き飛びました。テレビからはアナウンサーが必死の形相で「逃げてください」「高台へ避難してください」と大声で叫んでいる。東日本大震災以来の「大津波警報」が出ました。そして軒並み日本海側には津波警報、津波注意報が出ている状況。夕方の暗くなっている時間です。その状況がどれだけ大変な状況か、東日本大震災を経験している私たちにすれば、もう心配で心配でなりません。
正月のくだらないバラエティー番組はNHKをはじめ、多くが報道特番になり、東日本大震災の時や、それ以降の災害時と同じスタイルの報道形態に代わりました。2024年の日本の幕開けは、今まで生きてきて経験したことの無い、非常事態での幕開けとなりました。テレビでは観光地である輪島の朝市が大火に包まれる様子が映り、東日本大震災でも宮城の沿岸部で大きな火災があって、その状況と酷似。嫌でもあの時を思い出す東北の人は多かったと思います。
能登地方はこれまで大きな地震があったとは言え、気象庁でもあまり警戒していた地域ではなかったようで、そういったことから1000年に1度、とまで言われるようになりました。
また、能登は小さな半島で、道路も少なく、その道路が今回の地震でことごとく壊れ、車で能登に入る事がとても難しくなった事も、自衛隊はじめ、支援の手が初動で送れた理由と言われています。
孤立集落も東日本大震災の時よりもはるかに多く、孤立していた時間も長かったと思います。どれだけ寂しかったか、どれだけ不安だったか。さらに今回の能登半島沖地震で混乱が大きくなったのは、正月の発災で里帰りしている人もかなり多かったので、そういった人の名簿は地元自治体に無く、大きな混乱につながりました。さらに避難所はキャパオーバーをおこし、備蓄食料も、毛布なども結果的に全く足りなくなったのは、そういった帰省の人たちの事を加味していなかったからになります。
1月1日にこんな災害が起こるなんて、誰も想像していません。しかし、地震は365日、いつでも起きるのです。1月の北陸地方は日本でも有数の雪と寒さの地域です。この寒さとの戦いも大変です。東日本大震災は3月11日発災で、それでも私が避難した避難所は寒く冷たい床で、本当につらかったです。
1月の北陸はそんな寒さの何十倍も何百倍も寒いのだと思います。寒さとの戦いという意味では、雪国で冬に大きな災害が発災した時に、どのように暖を取るか、とても大事な問題だと感じました。自衛隊が今回も正月なのに即座に北陸に入りました。私も東日本大震災で自衛隊のすごさ、ありがたさを十分に知った一人です。今回も本当にありがとうございます。
まだまだ復興には程遠い北陸地方。これからこのコラムでも能登半島沖地震の今をお伝えしていきます。
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