能登の大震災から1年|東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第148回】
今年の酒造りも本格的に進んでいます。秋に収穫された新米での酒造り。東日本大震災で大きな被害を受けた蔵も、10年以上経過して、今ではほとんどの被災した蔵が普通に新酒を仕込める事を歓びとして感じています。
2024年1月1日。
能登の大震災から1年が経過しました。あまりにも唐突な震災で、日本中が元日から絶句しました。能登で被災した蔵元は今年の新酒を自分の蔵で仕込めるところはまだないはずです。その分、石川県内の他の蔵での仕込みを継続して、自分の蔵の酒造りを細々とですが継続して未来を見つめています。
この1年で被災地の石川県は酒蔵の結束が強まったと言います。もちろん、石川県の隣県の北陸の蔵元全体がそうだと言います。自分の蔵に、他の蔵の杜氏、蔵元を入れて、別の酒を造る。全く想像していない事態です。
しかし、それを受け入れ、この1年北陸の蔵元は協力し合い、助け合い、能登の酒蔵の復興に力を入れてきました。まだまだ能登の蔵が自分の蔵で酒を仕込めるようになるには時間がかかるでしょう。そこまでは、皆さんの応援が必要です。酒を仕込み、酒を飲んでもらい、その繰り返しが被災した蔵の自信へとつながります。
「やれる」「復活できる」「大丈夫」
こういった自己肯定を高めていかないと、とてもではありませんが、大きな借金を重ね、未来へ1歩を踏み出せません。だから、カナダからも応援してください。石川県と北陸の酒を飲んで応援してください。日本食レストランやスーパーで、石川県と北陸のお酒を見つけたら、積極的に頼んで、買ってください。小さな支援かもしれませんが、その小さな支援は、一番確実に蔵元に届きます。
そして能登の復興を進めます。能登は、酒蔵だけではなく、全ての産業が大きなダメージを負っています。東日本大震災は酒蔵から復興を、と声掛けをして、酒蔵の復興は、東日本大震災全体の復興の灯になりました。
伝統ある酒蔵が伝統を継続し未来に向けて歩む1歩は必ず被災地の人の心に届きます。2024年12月、ユネスコの世界無形文化財に日本酒を含む、日本の伝統的な酒造りが登録されました。世界遺産としてこれから日本酒は世界に日本文化の結晶として伝わります。
そんな世界遺産の蔵元をなくすわけにはいきません。是非応援をよろしくお願いします。
オンタリオ取扱い代理店: Ozawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。南部美人 / http://www.nanbubijin.co.jp本文:南部美人 五代目蔵元 東京農業大学客員教授