「燃え尽きた選手人生新しい挑戦に役立った語学力」元プロサッカー選手/ 現サッカーエージェント」元プロサッカー選手/ 現サッカーエージェント長岡 郷さん(後編)|Hiroの部屋

高校卒業後にブラジルにサッカー留学し、その後はヨーロッパやカナダで活躍した元プロサッカー選手の長岡郷さん。5年前に現役を引退し、サッカー選手の契約をまとめたりクラブと交渉したりするエージェントの仕事に勤しむ日々だ。選手から仲介業に移った理由とは。また、ヒロさんとの「絆」についても熱く思いを明かしてもらった。
初契約は瀬戸貴幸選手

ヒロ: 現役引退のきっかけは何でしたか?
長岡: 最終的な引退決意は、34歳の時にマルタのチームとの契約終了後に、次の理想的なチームが見つからなかったからです。アジアのチームからのオファーはありましたが、その頃は肘の靭帯を切った後の復帰持ちだったし、断りました。そして、日本に一時帰国して将来のことを考えていたら、ちょうどラトビアの友人がサッカークリニックを起業するとわかり、ちょっと会いに行ったら結局、お手伝いすることになりました。そこから本格的に今のエージェント業界に行くことになりました。

ヒロ:サッカーのプレーは完全燃焼した感じでしたか?

長岡: そうですね。どうしてもケガが多くて試合にも出られなかったし、やっぱりブラジルに戻りたい気持ちもあったから、アジアに行くなら辞めようという考えもありました。これまでいろんな人にも会えて、完全燃焼でしたね。昔、ブラジル留学中に僕が契約したチームにトライアウトで来た日本人がいました。瀬戸貴幸といって、日本代表候補にもなるくらい活躍している後輩にも出会いました。
ヒロ: とても覚えてます。昔、ニュースで彼が日本代表候補と見て「あっ!!郷くんの親友だ!」って(笑)
長岡: 本当に素敵なご縁です。そのブラジルで出会った約15年後に、僕が仲介人として初めて大きめの額のプロ契約成立させたのも彼です。当時、彼が日本から欧州リーグに戻りたいと知り、僕も色々と奔走した結果、ラトビア1部と契約できました。それから、僕も仲介人として次のステップの軌道に乗れました。
ヒロ: これまでの努力や培った信頼、ネットワークが選手とクラブの両方にあるからこそできる仕事ですね。
長岡: 日本の代理人で既にご活躍されていた先輩方が、日本人で多言語を話せる僕に興味を持ってくださったのが良かったです。契約をまとめる英語力はあるので、外国人選手や海外のチームからの需要はあるし、日本語も話せるからトヨタ、ホンダみたいな大きなスポンサーへも交渉もできます。普段の仕事は、多方面からの契約選手のサポート、定期的に選手やクラブ関係者を訪問して練習や試合を見るのがメインです。契約が成立すれば、選手やクラブ等から報酬をいただくし、その際の飛行機代や宿泊等の経費の申請や交渉もします。
将来のために言語の勉強
ヒロ: 今回のトロント滞在中もMLSとのコネクション作りなど、世界中で大活躍ですね。引退後のキャリアについて考え始めたのはいつですか?
長岡: 昔からなんとなく思ってましたね。ヒロさんみたいに僕も海外が好きだから、言葉の勉強は頑張っていましたし。
ヒロ:出会った頃に「引退後も郷くんは大きな花を咲かせるよ」って、よく話したんですよね。そうしたら去年、会った時、「ヒロさん、あの頃からそう言ってましたね」って。僕の言葉を覚えてた事が嬉しかったです。郷くんは当時のポルトガル語と英語だけでなく、今はポーランド語やロシア語も話すし、本当に凄いですよ。

長岡: ヒロさんと同じで、スピーキングもリスニングも本場に突っ込んでいって、間違えても僕にリスクはないと思っていますから(笑)
「実りの秋」が来た
ヒロ:郷くんとは昨秋、12年振りにラトビアや日本で再会しました。今夏はトロントで再会して、この「ヒロの部屋」で対談。新しい形で関係が再開した感覚です。これからの友人関係の第2章も楽しくなると感じてます(笑)
長岡: ヒロさん、変わってないですよね(笑)。去年、再会できたのは仕事に少し慣れてきて、スケジュールが読めるようになったからですね。5年前に引退してから仲介業として世界中を飛び回り、コロナ禍以降は大きい仕事も請けました。その後、順調に進んだので、仕事の追加オファーもありました。ある程度の結果を出したので、仕事の依頼も増えましたが、こちらからもスケジュール変更や、お断りもするようになりました。今は、仕事をよりスムーズにでき、自分の時間を作れるようになりましたね。今回のトロントは、英語の勉強や、サッカー関係者との出会いも目的でしたが、やっぱりヒロさんに会いたかったからですよ。

ヒロ: 郷くんの人生は興味深いです。人生に「春夏秋冬」があるなら、完全に「秋」が来た感じがします。大きな夢を抱いた10代が「青春の春」なら、汗水たらして色んな涙も流した全力疾走が20〜30代の「熱い夏」。そして今、人生の「実りの秋」が訪れ、春夏に世界中で耕し培ったことの収穫期。僕と郷くんは違う畑だった。だから、郷くんが真剣に実らせたものも本当に魅力的です。僕と郷くんのお互いの実りを寄せ鍋にして一緒に堪能しようっていう、我々の「実りの秋」が昨年10月の再会が始まりだと感じました。その実現が本当に嬉しい限りです。
(聞き手・文章構成TORJA編集部)
長岡郷さん
1984年5月23日生まれ。大阪府出身。私立北陽高校(現関西大学北陽高等学校)卒業後、単身ブラジルに渡伯。同年アヴァイFCに加入。U20サンタカタリーナ州選手権に初の日本人選手としてプレイする。その後カナダ、ヨーロッパでプレイし2018年に現役を引退。現在はサッカー代理人として活動し、世界中を転々とする。
Hiroさん
名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。NYの有名サロンやVidal Sassoonの就職チャンスを断り、世界中に展開するサロンTONI&GUY(トロント店)へ就職。ワーホリ時代から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再びトロントのTONI&GUYへ復帰し、北米TOP10も受賞。2011年にsalon bespokeをオープン。今もサロン勤務を中心に、著名人のヘア担当やセミナー講師としても活躍中。世界的ファッション誌“ELLE(カナダ版)”にも取材された。salon bespoke
130 Cumberland St 2F647-346-8468 / salonbespoke.ca
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