美しすぎる島国マルタ共和国のお菓子|特集「ヨーロッパの伝統菓子」第二弾
ヨーロッパ・地中海に浮かぶ小さな島国、マルタ共和国。イタリアの近くにありながら英語が公用語ということもありヨーロッパの人のみならず日本でも近年、留学先としても人気の場所。そんな美しい海に囲まれたマルタ共和国は美食の国としても有名。新鮮なシーフードや野菜を使った地中海料理が人気の中、スイーツはイギリスの占領下だった歴史もあり焼き菓子が特に美味しいと言われる。
Malta Bake Shop
@maltabakeshopltd
マルタの伝統の味で小腹を満たす
薄く丁寧に伸ばされた生地にたっぷりのマーガリンを塗ってフィリングを詰めて焼き上げられるこちらのパスティッツィは当店の看板商品。おかず系はひき肉とコーンビーフが詰められたものからリコッタチーズ、甘いパスティッツィが食べたい!というときは、事前にオーダーすればアップルフィリングのものを作ってくれる。あまりにも大人気なので冷凍されたパスティッツィも販売されており、お家でもこの絶品の味を楽しめる。
マルタの味といえばパスティッツィと言われるほどマルタ共和国を象徴するペーストリー。サクサクなパイ生地に包まれるのはリコッタチーズや、豆のペースト、フルーツジャムなどおかず系からスイーツ系までありコーヒーや紅茶とともにおやつとして食べられるんだとか。英語のことわざに「Selling like hotcakes(ホットケーキのように売れる)」(ホットケーキがよく売れることから) 「飛ぶように売れる」 という意味のものがあるが、マルタ共和国では「パスティッツィのように売れる」ということわざまで存在するのだそう。
カラフルなクッキーでイースターを祝う
第二次世界大戦後、沢山のマルタ人移民がトロントにやってきて一時はマルタ共和国以外で、一番マルタ人人口が多かったとされるトロントだが、いまマルタの魅力的なスイーツを買えるお店の数は限られてきている。そんな中でこちらのMalta Bake Shopは、40年にも渡りトロントニアンにマルタの変わらない味を運んできた。厳しい寒さの冬を超したあとの春の便りは決して温かい太陽の光だけではない。毎年3月になると当店のオーナー夫婦、アントワネットさんとチャリーさんからカラフルに飾り付けされたフィゴリの写真と共に「Figolli is ready!」とメッセージが投稿される。普段から教会のあとに立ち寄る常連客が多いというだけあってイースタースイーツであるフィゴリも販売後すぐに売り切れてしまうんだそう。1度は味わってみたいマルタのお菓子だ。
95%がカトリック教徒といわれるマルタ共和国ではイースターは祝日になるほど大切なイベント。マルタでは、聖週間にこのフィゴリが焼かれ、イースターサンデーに食べられるように子供たちや親しい家族に配られるんだとか。フィゴリは、砕いたアーモンドを詰めたジンジャーブレッドのようなクッキーで主に、ハート、十字架、星、魚など、特にカトリックに関連したシンボルの形をしている。上はカラフルなアイシングで飾り付けされる。
カーニバル期間しか食べられないレアなケーキ
マルタ共和国のカーニバル期間(2月~3月上旬の間)限定で、Malta Bake Shopで販売される貴重なケーキ、プリニョラータ。名前にもなっている「Priniol」とは松の実という意味でケーキのフィリングにもトッピングにもたっぷり松の実が使われている。チョコレートとメレンゲでコーティングされ、カラフルに色付けされたさくらんぼと、カーニバルのお祝いになんとも似合う豪華な見た目のケーキだ。
肉食を断ち、世俗の欲を制限するキリスト教徒のイベント四旬節。この厳しい四旬節が始まる前に、好きなものを飲み食いして思う存分羽目を外すことが許されるのが、カーニバル。マルタ共和国のカーニバルでは色鮮やかなコスチュームに身をまとったダンサーや、大きなフロートが先導するパレードが有名だが忘れてはいけないのが屋台。中でもカーニバルの期間のみしか販売されないプリニョラータは必見。小さく切り刻んスポンジケーキに、砂糖漬けされたカラフルなさくらんぼ、松の実、アーモンド、チョコレートチップなどを混ぜ合わせて固められた老若男女に人気のケーキ。