たまごなしでは語れないポーランドのお菓子|特集「ヨーロッパの伝統菓子」第二弾
「Heart of Europe」ともいわれるヨーロッパの中央に位置する国、ポーランド。国名の語源が「平原」からきているだけあって限りない大平原が広がる自然豊かな国だ。ヨーロッパの国々に囲まれているだけあり、何世紀にもわたって周辺国の影響を受けながらポーランド料理とデザートは変化をし続けてきた。その中でも「ゆで卵民族」と呼ばれるほど卵を愛するポーランド人。スイーツも同様に卵が多く使われたものが多いのが特徴。
Benna’s Bakery & Deli
軽くて優しい甘みクグロフ
スーパーの一角に一段と目を引くペーストリーコーナー。その中でも白い粉砂糖がかけられ列をつくるクグロフは視線を釘付けにする。毎日お店で丁寧に焼き上げられるクグロフは、ふんわり柔らかく優しい味わい。クグロフを囲んで家族や友人と楽しいひとときを楽しんでみてはいかが?
中央ヨーロッパで食べられている真ん中に穴が空いた王冠型のケーキ、クグロフ。村の結婚式や洗礼式といった晴れの日に食べられていたそう。現在のクグロフはパンを作るイースト菌を加えて膨らませているが、18世紀まではビール酵母が使われていたんだとか。
卵たっぷりのチーズケーキ
卵が大好きな国民に愛される、卵をたっぷりと使用したチーズケーキ。トゥファルクチーズを滑らかになるまでよくかき混ぜ砂糖とバター、卵を丁寧に素早く混ぜることでシルクのような滑らかさと、そしてふんわりした食感のセルニックになる。ポーランド風のチーズケーキをぜひ試してみてはいかが?
伝統的なポーランドのチーズケーキ、セルニック。チーズ発祥の国とも言われるポーランドではアップルケーキと並んで2大ケーキと言われている。
ポーランドではトゥファルク(Twaróg)というカッテージチーズや、リコッタに似た特別なチーズを使って作られるため滑らかな食感が特徴。
セルニックの元となるのはアルカス(Arkas)というポーランドのお菓子で、トゥファルク、砂糖、ローズウォッカ、サフランから作られたもので、美食家で知られたヤン3世ソビエスキの好物だったと伝えられている。
今日はポンチキを手土産にしよう
ポーランド系住民が多く住むエリアにあるこちらのベーカリーデリ。有名なポーリッシュソーセージや、ピロギーに負けず劣らず人気なのが丸い形をしたポーリッシュドーナツ、ポンチキだ。伝統的な杏ジャムからほかのフルーツジャムのフィリングもあり、フルーティで甘すぎず食べやすいと評判。特にローズヒップのジャムは珍しく味も美味しいと人気の一品。「1日これを大量に食べただけで急激に太るわけはない、また後で運動すればいい」というポーランド人の言い分を聞いてたくさん頬張りたい一品。
ポーランドに行ったら必ず食べたいスイーツの一つ、ポンチキ。穴の空いてないふかふかなドーナツで、中にはフルーツジャムやクリームのフィリングが入っている。このポンチキという名前、ポーランド語ではとても可愛らしく「つぼみちゃんたち」という意味なんだそう。
生地にあらかじめ少量のリキュールを加えることで揚げる時にアルコールが蒸発し、油が生地の奥に侵入するのを防ぐという裏ワザが使われているためか高カロリー食にも関わらず、一般の揚げ菓子よりも軽くもっちりしている。
キリスト教イベントの四旬節の直前の木曜日「脂の木曜日」には、このポンチキを嫌というほど食べる日になっており、この日は「ポンチキを何個食べましたか?」で挨拶が始まるほどだとか。